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『猟奇的な彼女』

投稿者: anthoniy_williams 投稿日時: 2009/05/08 21:26 投稿番号: [761 / 768]
「真実の愛」とはなにか?
たとえば、見返りを求めない愛こそがそういえるものなのかもしれない。

この点について、パスカルは興味深い話をしている。
「ある男がある女をその美貌ゆえに愛していたとする。あるとき彼女が天然痘にかかり、その美しさを失ったとする。そのとき、男はなおもその女を愛し続けることができるか?   もしも男が女からはなれていったのなら、男は女を愛していたのではなく、自分の快楽を愛していたのである」と。


この映画のキョヌの彼女に対する愛情も見返りを求めない愛ではあるだが、「真実の愛」とはなにか?   がこの映画のテーマではない。どこまでも女に尽くす男の姿をコミカルに、どこか悲哀を感じさせながら描く。そして恋愛の行き着く先になにがあるのか?を観ているものに期待させつつ、それでも別れてしまった二人に、視聴者はいったんはあきらめの感情を持つ。   せつない別れの恋愛映画のひとつとして‥   しかしそこで終わらずに、その期待を良い意味で裏切ってハッピーエンドのラストシーンを迎えるのがこの映画の最高の見せ場である。

そして最後のキョヌの言葉‥
「偶然すぎるって?偶然とは、努力した人に運命が与えてくれる橋です」


ようやくここにテーマが暗示される。

人間は個人ではいかんともしがたい運命に翻弄される存在であるが、運命に果敢にいどみ、それを背負って生きることにも意味はある。   良い運命だって用意されているのだし、努力しだいでそれをつかむことは夢ではないのだと。

じつは伏線は映画の最初から用意されていたのだ。
それはまるでユングの言う「共時性、シンクロニシティ」を想起させるかのように。
キョヌは母親から叔母さんに会うように何度も言われていた。
いったい叔母さんは誰に会わせようとしていたのか?  
もちろんそれは彼女だった。


評価:5
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