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『悪い男』

投稿者: anthoniy_williams 投稿日時: 2009/03/28 20:47 投稿番号: [707 / 768]
社会は見えない構造によって動いているという構造主義を想起したレヴィ・ストロースによれば、人間社会は3つの交換によって成り立つ。

・物、カネの交換   (経済活動)
・情報の交換   (言語によるコミュニケーション)
・女性の交換   (結婚制度、インセストタブー)

そこで考えてみる
従軍慰安婦の強制連行は事実、というのが日本政府の見解のようだが、仮にそれが事実とするならば、

女性を交換の道具としての役割がこの近代社会においても我々の関知しないところにおいて社会の構造に組み込まれていて、太平洋戦争における小国日本が、大国アメリカに対する戦略上、人権への配慮が最低限になされたのは仕方がないこととしても、それらは多分に構造的な要因によって引き起こされたと考えることもできる。
最近では管理売春を容認する国もあるが、女性を商品として扱うことは人道上の問題があると考えるのが一般的だ。しかし人間の感情の及ばないところで知らず知らず行動が構造的に規定されていることも考えられないこともない。


さてこの映画では、売春宿を管理するチンピラが主人公であり、その男が街でひとめぼれした女をだまし売春宿で働かせる。


平凡な女子大生がある日突然、売春宿に売られてしまうという悲劇であり、最初は逃げ出しても連れ戻される女の悲惨な状況が描かれるのだが、いつしか女は自分を陥れた男を憎みながら愛するようになっていく。

好きになった相手を傷つけることで愛情を表現しようとすることがテーマであり、世間の常識的な恋愛関係や幸福感をあえて覆すことで、常識の背後に潜む構造的問題をあぶりだそうという監督の意図なのだろうが、娯楽性や社会性よりも、監督の個人的な芸術性を求めすぎた映画のように感じる。


評価   1
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