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『八月のクリスマス』

投稿者: anthoniy_williams 投稿日時: 2009/02/03 03:21 投稿番号: [546 / 768]
かつて日本文化のことを「恥の文化」とよんだのはルース・ベネディクトである。
日本人の行動価値基準は、あくまで他人の目を意識したものであり、他人に後ろ指をさされないように立ち振る舞うことが、日本人の道徳心の基本であった。
一方「罪の文化」を持つ欧米人は、他人の目よりも前に神の目が常に心の中にあり、それが欧米人の道徳心を形作っているといわれている。

日本人の宗教観もそんな独自の精神構造と関係があるのだろう。   日本人の多くは「宗教的信条」をいつも心にいだいて生活しているわけではない。   クリスチャンでなくても、クリスマスを祝うし、教会で結婚式もおこなう。一方、神道信者でなくても、明治神宮で挙式をあげたりするのだ。
韓国はたしかにキリスト教徒は日本人よりも多いのだが、彼らもやはりクリスチャンでなくてもクリスマスを祝うから民族的メンタリティは日本人と似ているといえるだろう。

さて、この映画のタイトル「八月のクリスマス」なのだが、
なぜ?クリスマスが八月なのか?   と誰もが疑問に思うところだろう。
想像だが、
クリスマスという一年で一番楽しいイベントとして比喩的に使っているのではないだろうか?
人生最後の8月にクリスマスのような楽しいことを神さまはこの幸薄い青年に贈ってくださったのだと。

さて映画のほうであるが、
小さな写真店を営むジョンオンとお客のタリムの恋物語なのだが、
この映画は一切の状況説明を省いている、
そしてジョンオンとタリムの最小限の会話と演技だけで見る側の想像力をかきたるという手法だ。
死に向かってたんたんと生きるジョンオンと、それを知らない無邪気なタリムとの対比に、観ているものは、もどかしくそれでいて、切なくやりきれない思いを感じずにはいられない。

もっとも悲しいシーンは死をまじかにタリムの姿を一目見たいというジョンオンが、喫茶店のガラスごしにタリムを見つめる場面、タリムは見られていることを知らないない。
ジョンオンの手がガラスの上をすべりながら、虚空をつかもうとしながらつかめない。
もう一度逢いたいと葛藤している姿に自然と涙があふれる、

そしてやがてやってくるジョンオンの「死」。
それでもタリムは知らないのだ、そのことがまたジョンオンの死の悲しみの余韻を残している。


評価5




★   評価基準
評価5   心から感動できるもの   涙できるもの
評価4   映画としてそこそこ楽しめる
評価3   全体としてたいしたことないけど、少しは光るものが感じられる
評価2   見てちょっと損した気分
評価1   くだらない、見るだけ時間の無駄


多忙のためしばらく投稿をお休みします。
ご了承ください。
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