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朝鮮通信使 2

投稿者: hendazo04 投稿日時: 2008/12/29 19:16 投稿番号: [246 / 402]
通信使にとっての苦難の航海は続く。
季節を選ぶわけには行かない通信使隊ではあるが、いかにも時期が悪い。
第一回目の文永の役で高麗船が季節風で壊滅されたのは太陽暦で11月26日であった。冬の季節風が吹き荒れる対馬海峡・玄界灘・周防灘は半島民族にとってまさに[板子一枚下は地獄]であったろう。

通信使が釜山に到着したのが12月18日、以来悪天候のため同港で2ヶ月も足止めを食った。
前項で割愛したが、やっと釜山を出帆した船団は荒波で予定地佐須奈に接岸できず急遽近くの鰐浦に変更された。そのため用意されていた食料その他は急遽佐須奈より運ばれる。
その後も荒天はやまず、のっけから佐須奈に1週間の滞在を余儀なくされた。その間前述した船火事を起こし、下級役人30数人は礼服を焼失したため本国に送り返される。
次は鰐浦をでて同島の中央部芳浦(現芦浦)で船中泊となり、翌朝日の出の時刻に宗家のお膝元である府中に向かう。
3週間後の3月16日朝壱岐に向かい、これは無事到着するが、ここでも風雨に阻まれて2週間の滞在となり、接待側の平戸藩は多大の出費を余儀なくされる。

朝鮮側は、船火事の引け目もあり気の毒に感じたのか、一日の下向渡し(食料他の現物供与)の軽減を申し入れ、日本側が断ると現場においてできる限り軽減に努めた、とある。相手に気を使う心優しき朝鮮人、こういう事実も気にとめておくべきだろう。ま、すぐ帳消しになるけど。

さて、朝8時に壱岐をでて藍島までの54キロもかなり荒れて、通信使船がはぐれてしまい、全船が着岸したのは夜中の12時になった。
藍島からは次の、次の日の朝にあわただしく出奔したが、実は前回の第九回通信使も台風のためこの島に九日間滞在し、次の11回目はやはり台風で船が大破し、二十四日間も滞在している。

さらに難所の関門海峡を通り赤間関にようようたどりついたが、通信使たちはもう船に乗るのを嫌がっているようだ。ここを出るとき奉使録は「空は曇って風が激しく、とても出航できる日和とは思えなかったが、対馬の守の船から出航合図の太鼓がなり、全員乗船する。」と書く。
次港地の上関(岩国あたり)まで140キロもあり、その上、潮の変化も激しい。
「この日も、波が高く、船の傾きも外洋を渡るときよりひどかった」
「暗礁があちらこちらから波間に頭をみせ、避けねば船が破損するので、小船が先行して碇を下して旗を立て、標示した。」・・怖かっただろう。
通信使船は向浦(現防府市向島)に避難する。
波風がきつく船は翻弄され、とても安眠できる状態ではないが、民家六、七軒ほどの寒村で、泊まる施設もない。全員船中泊となる。

次の日、正規の寄港地上関につく。2日後、次の寄港地蒲刈に向うが、霧が立ち込め見通しをさえぎった。
船団は伊予灘から安芸灘への水路にある伊予松山藩の領地津和地島に避難する。また船中泊。もうヘトヘトである。
しかし対馬藩より[明朝の潮のよいのは朝のうちわずかな間だから正使はご不快ではあるが、早朝に乗船されたい]と非情に催促され、次の日の午前五時出帆、黒島沖で広島藩の三百三十四艘の護衛船に引き継がれ蒲刈(呉市)になんとか入港した。

やっと瀬戸内海の懐に入り、陸路に変わる大阪までは後5−6日の行程だ。
ここまで荒海を越えてきた通信使一行に充分な活力があるとは思えないのだが、ここに対馬藩家老から御馳走係に通達が入る。
「目付けからの知らせでは、各所において朝鮮人と日本人が入り混じり、特に上関では不行跡が甚だしく、夜更けまで朝鮮人が町中を徘徊し、夫人までもが入り混じり、また朝鮮船にも乗り込み、その中に脇差を差した町人もいたという。これでは武器の密売の恐れがある。
通詞下知役は三役たちと一緒に揚陸するが、横目は船に残って監視をする役目である。役目怠慢できつく叱るよう申し渡す。
また番所はどこの藩でも設けているのだから、家中の者以外は通さず、朝鮮人が外出したら対馬役人まで届け出るよう、往復とも厳重に申し伝える。
上関の朝鮮人外出の件は、内々報せを受けたので、裁判を客館に遣わし上々官に声高に三使にも届くよう叱りおいた。今後国法をしっかり守るよう厳重に申し渡す。」

ほう、日本夫人も浮かれていたようだな。韓流の走りか。
通達は、通信使の世話役である同藩御馳走係りに役目の履行を厳命し、わざわざ通信正使、副使に聞こえるよう大声で申し渡したとある。

彼らの不行跡とはいかなるものであったのか.
ともあれ、この注意が役に立たず、彼らの増長は行程を増すごとに騒がしくなる。
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