宮沢賢治の慧眼 「ツェ」ねずみ
投稿者: hinekyuri 投稿日時: 2007/06/15 20:24 投稿番号: [58846 / 230347]
http://blogs.yahoo.co.jp/guisaynoyuu/12196416.html より〜
この「ツェ」という名前。朝鮮人の名前以外で見たことがありません。
やはり朝鮮人の気質を描いたのでしょうか。時代的にもありえます。
「ツェ」ねずみ
ある古い家の、まっくらな天井うらに「ツェ」という名まえのねずみがすんでいました。
ある日ツェねずみは、きょろきょろ四方を見まわしながら、床下街道を歩いていますと、向うからいたちが、何かいいものを、沢山もって、風のように走って参りました。そして「ツェ」ねずみを見て、一寸たちどまって、早口に云いました。
「おい、ツェねずみ。お前んとこの戸棚の穴から、金米糖がばらばらこぼれているぜ。早く行ってひろいな。」
ツェねずみは、もうひげもぴくぴくするくらいよろこんで、いたちにはお礼も云わずに、一さんにそっちへ走って行きました。
ところが、戸棚の下まで来たとき、いきなり足がチクリとしました。そして、
「止れ。誰かっ。」という小さな鋭い声がします。
ツェねずみはびっくりして、よく見ますと、それは蟻でした。蟻の兵隊は、もう金米糖のまわりに四重の非常線を張って、みんな黒いまさかりをふりかざしています。二三十疋は、金米糖を片っぱしから砕いたり、とかしたりして、巣へはこぶ仕度です。「ツェ」ねずみはぶるぶるふるえてしまいました。
「ここから内へはいってならん。早く帰れ。帰れ、帰れ。」蟻の特務曹長が、低い太い声で云いました。
鼠はくるっと一つまわって、一目散に天井裏へかけあがりました。そして巣の中へはいって、しばらくねころんでいましたが、どうも面白くなくて、面白くなくて、たまりません。蟻はまあ兵隊だし、強いから仕方もないが、あのおとなしいいたちめに教えられて、戸棚の下まで走って行って蟻の曹長にけんつくを食うとは何たるしゃくにさわることだとツェねずみは考えました。そこでねずみは巣から又ちょろちょろはい出して、木小屋の奥のいたちの家にやって参りました。いたちは、ちょうど、とうもろこしのつぶを、歯でこつこつ噛んで粉にしていましたが、ツェねずみを見て云いました。
「どうだ。金米糖がなかったかい。」
「いたちさん。ずいぶんお前もひどい人だね、私のような弱いものをだますなんて。」
「だましゃせん。たしかにあったのや。」
「あるにはあってももう蟻が来てましたよ。」
「蟻が。へい。そうかい。早いやつらだね。」
「みんな蟻がとってしまいましたよ。私のような弱いものをだますなんて、償うて下さい。償うて下さい。」
「それは仕方ない。お前の行きようが少し遅かったのや。」
「知らん知らん。私のような弱いのをだまして。償うて下さい、償うて下さい。」
「困ったやつだな。ひとの親切をさかさまにうらむとは。よしよし。そんならおれの金米糖をやろう。」
「まどうて下さい。まどうて下さい。」
「えい。それ。持って行け。てめいの持てるだけ持ってうせちまえ。てめいみたいな、ぐにゃぐにゃした、男らしくもねいやつは、つらも見たくねい。早く持てるだけ持って、どっかへうせろ。」いたちはプリプリして、金米糖を投げ出しました。ツェねずみはそれを持てるだけ沢山ひろって、おじぎをしました。いたちはいよいよ怒って叫びました。
「えい、早く行ってしまえ。てめいの取ったのこりなんかうじむしにでも呉れてやらあ。」
ツェねずみは、一目散にはしって、天井裏の巣へもどって、金米糖をコチコチたべました。
こんな工合ですから、ツェねずみは、だんだん嫌われて、たれもあまり相手にしなくなりました。そこでツェねずみは、仕方なしに、こんどは、はしらだの、こわれたちりとりだの、ばけつだの、ほうきだのと交際をはじめました。
仲でもはしらとは、一番仲よくしていました。柱がある日、ツェねずみに云いました。
「ツェねずみさん。もうじき冬になるね。ぼくらは又乾いてミリミリ云わなくちゃならない。お前さんも今のうちに、いい夜具のしたくをして置いた方がいいだろう。幸い、ぼくのすぐ頭の上に、すずめが春持って来た鳥の毛やいろいろ暖いものが沢山あるから、いまのうちに、すこしおろして運んで置いたらどうだい。僕の頭は、まあ少し寒くなるけれど、僕は僕で又工夫をするから。」
ツェねずみはもっともと思いましたので、早速、その日から運び方にかかりました。
ところが、途中に急な坂が一つありましたので、鼠は三度目に、そこからストンところげ落ちました。
柱もびっくりして、
「鼠さん。けがはないかい。けがはないかい。」と一生けん命、からだを曲げながら云いました。
〜〜〜以下略
http://blogs.yahoo.co.jp/guisayno
この「ツェ」という名前。朝鮮人の名前以外で見たことがありません。
やはり朝鮮人の気質を描いたのでしょうか。時代的にもありえます。
「ツェ」ねずみ
ある古い家の、まっくらな天井うらに「ツェ」という名まえのねずみがすんでいました。
ある日ツェねずみは、きょろきょろ四方を見まわしながら、床下街道を歩いていますと、向うからいたちが、何かいいものを、沢山もって、風のように走って参りました。そして「ツェ」ねずみを見て、一寸たちどまって、早口に云いました。
「おい、ツェねずみ。お前んとこの戸棚の穴から、金米糖がばらばらこぼれているぜ。早く行ってひろいな。」
ツェねずみは、もうひげもぴくぴくするくらいよろこんで、いたちにはお礼も云わずに、一さんにそっちへ走って行きました。
ところが、戸棚の下まで来たとき、いきなり足がチクリとしました。そして、
「止れ。誰かっ。」という小さな鋭い声がします。
ツェねずみはびっくりして、よく見ますと、それは蟻でした。蟻の兵隊は、もう金米糖のまわりに四重の非常線を張って、みんな黒いまさかりをふりかざしています。二三十疋は、金米糖を片っぱしから砕いたり、とかしたりして、巣へはこぶ仕度です。「ツェ」ねずみはぶるぶるふるえてしまいました。
「ここから内へはいってならん。早く帰れ。帰れ、帰れ。」蟻の特務曹長が、低い太い声で云いました。
鼠はくるっと一つまわって、一目散に天井裏へかけあがりました。そして巣の中へはいって、しばらくねころんでいましたが、どうも面白くなくて、面白くなくて、たまりません。蟻はまあ兵隊だし、強いから仕方もないが、あのおとなしいいたちめに教えられて、戸棚の下まで走って行って蟻の曹長にけんつくを食うとは何たるしゃくにさわることだとツェねずみは考えました。そこでねずみは巣から又ちょろちょろはい出して、木小屋の奥のいたちの家にやって参りました。いたちは、ちょうど、とうもろこしのつぶを、歯でこつこつ噛んで粉にしていましたが、ツェねずみを見て云いました。
「どうだ。金米糖がなかったかい。」
「いたちさん。ずいぶんお前もひどい人だね、私のような弱いものをだますなんて。」
「だましゃせん。たしかにあったのや。」
「あるにはあってももう蟻が来てましたよ。」
「蟻が。へい。そうかい。早いやつらだね。」
「みんな蟻がとってしまいましたよ。私のような弱いものをだますなんて、償うて下さい。償うて下さい。」
「それは仕方ない。お前の行きようが少し遅かったのや。」
「知らん知らん。私のような弱いのをだまして。償うて下さい、償うて下さい。」
「困ったやつだな。ひとの親切をさかさまにうらむとは。よしよし。そんならおれの金米糖をやろう。」
「まどうて下さい。まどうて下さい。」
「えい。それ。持って行け。てめいの持てるだけ持ってうせちまえ。てめいみたいな、ぐにゃぐにゃした、男らしくもねいやつは、つらも見たくねい。早く持てるだけ持って、どっかへうせろ。」いたちはプリプリして、金米糖を投げ出しました。ツェねずみはそれを持てるだけ沢山ひろって、おじぎをしました。いたちはいよいよ怒って叫びました。
「えい、早く行ってしまえ。てめいの取ったのこりなんかうじむしにでも呉れてやらあ。」
ツェねずみは、一目散にはしって、天井裏の巣へもどって、金米糖をコチコチたべました。
こんな工合ですから、ツェねずみは、だんだん嫌われて、たれもあまり相手にしなくなりました。そこでツェねずみは、仕方なしに、こんどは、はしらだの、こわれたちりとりだの、ばけつだの、ほうきだのと交際をはじめました。
仲でもはしらとは、一番仲よくしていました。柱がある日、ツェねずみに云いました。
「ツェねずみさん。もうじき冬になるね。ぼくらは又乾いてミリミリ云わなくちゃならない。お前さんも今のうちに、いい夜具のしたくをして置いた方がいいだろう。幸い、ぼくのすぐ頭の上に、すずめが春持って来た鳥の毛やいろいろ暖いものが沢山あるから、いまのうちに、すこしおろして運んで置いたらどうだい。僕の頭は、まあ少し寒くなるけれど、僕は僕で又工夫をするから。」
ツェねずみはもっともと思いましたので、早速、その日から運び方にかかりました。
ところが、途中に急な坂が一つありましたので、鼠は三度目に、そこからストンところげ落ちました。
柱もびっくりして、
「鼠さん。けがはないかい。けがはないかい。」と一生けん命、からだを曲げながら云いました。
〜〜〜以下略
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