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神風

投稿者: apoxy7 投稿日時: 2005/05/10 22:50 投稿番号: [76782 / 196466]
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/5410/tokko_episode/tokko_taiin_shinjyo.htm
特攻隊員の真情
〜角田和男氏(元海軍中尉)の回想〜

角田氏が周囲の人々の勧めによって6ヵ年の歳月を費やして著わされたのが、「修羅の翼   零戦特攻隊員の真情」という書籍である。
  こういう方の体験談で、まさに特攻隊員の真情が表れていると強く感じられるエピソードがある。ぜひご紹介させていただきたい。


  出撃前、機上で昼食をとるのは面倒ということで地上で食べていくという隊員達がいた。その若い隊員達を見ると、みな不味い缶詰のいなり寿司を遠足に行った小学生のように嬉々として立ち食いしていた。角田氏はとても喉を通らない食事を無理やりとったが、彼らには遠く及ばないと感じたそうである。

ビールの乾杯が行なわれ、賑やかに話がはずんだ。

「兵舎に行って搭乗員室に泊まりましょうや」と誘い、そっと二人で抜け出した。

「何だ、倉田じゃないか、どうしたんだ」
  私の声に彼も気がついた。
「あッ分隊士ですか、分隊士なら良いんですが、士官がみえたら止めるように頼まれ、番をしていたものですから」と、変なことをいう。
  不審に思ってわけを聞いてみると、
「搭乗員宿舎の中を士官に見せたくないのです。特に飛行長には見られたくないので、交代で立番をしているのです。飛行長がみえた時は中の者にすぐ知らせるのです。しかし、分隊士なら宜しいですから見て下さい」

  そう言われてドアを開けた。そこは電灯もなく、缶詰の空缶に廃油を灯したのが三、四個置かれていた。薄暗い部屋の正面にポツンと十人ばかりが飛行服のままあぐらをかいている。そして、無表情のままじろっとこちらを見つめた眼がぎらぎらと異様に輝き、ふと鬼気迫る、といった感じを覚えた。
  左隅には十数人が一団となって、ひそひそ話をしている。ああ、ここも私たちの寝床ではない、と直感して扉を閉めた。
「これはどうしているのだ」
倉田兵曹に聞いた。彼の説明では、
「正面にあぐらをかいているのは特攻隊員で、隅にかたまっているのは普通の搭乗員です」
と言う。私は早口に質問した。
「どうしたんだ、今日俺たちと一緒に行った搭乗員たちは、みな明るく、喜び勇んでいたように見えたんだがなあ」
「そうなんです。ですが、
彼らも昨夜はやはりこうしていました。眼をつむるのが恐いんだそうです。
色々と雑念が出て来て、それで本当に眠くなるまでああして起きているのです。毎晩十二時頃には寝ますので、一般搭乗員も遠慮して彼らが寝るまでは、ああしてみな起きて待っているのです。しかし、こんな姿は士官には見せたくない、特に飛行長には、絶対にみんな喜んで死んで行く、と信じていてもらいたいのです。だから、朝起きて飛行場に行く時は、みんな明るく朗らかになりますよ。今日の特攻隊員と少しも変わらなくなりますよ」
  私は驚いた。今日のあの悠々たる態度、喜々とした笑顔、あれが作られたものであったとすれば、彼らはいかなる名優にも劣らない。しかし、また、昼の顔も夜の顔もどちらも本心であったかも知れない。
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