米国の対中戦略変化
投稿者: hangyosyufu 投稿日時: 2005/04/24 12:09 投稿番号: [70342 / 196466]
「競争」から「封じ込め」へ
ここ二、三日のワシントンの動きから、日米「戦略目標」による米国の対中政策が「競争」から「封じ込め」と呼ぶに値するものに移行していることが読み取れる。
「戦略目標」と称する一見漠然とした政策は、二月十九日にワシントンで「2プラス2」、つまり日米の外務・国防相によって採択され、その狙いは中国による台湾武力解放を阻止することだった。
ことの起こりは昨年四月四日にイラクで起きた反乱軍の総攻撃だった。これは中国による台湾海峡での不穏な行動と並行するように仕組まれたものだ。イラクと中国は、米国を二正面戦争に追い込んで、漁夫の利を占めようというのだった。即座にチェイニー副大統領が訪日して、日米関係を攻守同盟に格上げする合意を小泉総理と結んだ。これが「戦略目標」に発展したのである。
日米戦略目標の強化で巻き返し「2プラス2」の時点ではイラク戦争はたけなわであり、中国を刺激するのを恐れた日米政府は「戦略目標」を非常に控えめに扱っていた。「戦略目標」は一九七二年、ニクソン大統領が合意した上海コミュニケの政策である“One China but not now”を踏襲したもので、台湾海峡での現状維持を尊重するものだった。アメリカは台湾の独立も、中国の武力解放にも反対するというのだ。
アメリカは「競争」と称する中国宥和(ゆうわ)の政策をとって、テロとの戦争を戦ってきた。ところが中国と北朝鮮は、その裏をかいて第二戦線を開き、背後を脅かす道を選んだ。これ以上北京・平壌の瀬戸際政策は許せない。日本とて武力解放に甘んじることはできない。
幸いにも、今年一月の選挙以降イラク問題は政治の場に移行し、米軍は大幅な撤退を考慮している。これで東アジアに展開できる。しかし、三月上旬に中国で全人代があり、「戦略目標」に真っ向から反対する「反国家分裂法」を採択した。これは武力解放に固執するものだ。
ここから米中緊張がエスカレートし、日本も傍観できなくなった。三月十六日からライス国務長官がアジアを歴訪し、インドのシン首相に、「インドを二十一世紀の世界的パワーにするような、決定的に幅広い戦略的関係をワシントンは考慮している」と言明した。すぐさま中国の温家宝首相がインドに飛んで、ライスを平手打ちするような中印パートナーシップに合意している。
次はアメリカの番だ。EUは中国への武器輸出を解禁すべく模索していたが、アメリカが猛烈に巻き返しの運動をしたらしくて、最近、武器輸出を人権問題とリンクさせるという線まで後退した。さらに、米財務省は、人民元の為替レートを緊急に変動制に切り替えるよう、強い圧力を掛けている。
こうなってくると、北朝鮮の核兵器に関する六者協議の場で、中国が金正日を説得するというシナリオは絵に描いた餅(もち)になる。
中国の反日デモは上記の文脈の中で起きたものだ。中国は小泉政権の扱い方について、試行錯誤をしていたもようである。全人代の時点では、靖国問題が消えてなくなり、日中首脳交流をうたっている。恐らく内部が分裂して、宥和派が小泉総理を招待して日米離間を図ったものと見える。
デモはその後に来るのだが、「戦略目標」も台湾も表に出さない。日本の国連常任理事国入りを最初問題にしたが、自分がメンバーだから説得力がない。そこで教科書を出してくるという様だ。アメリカ側では、政府もニューヨーク・タイムズも、当然のこととは言え、断固日本支持である。朝日はそれに引っ張られているのだ。
私は一向に心配していない。日米同盟が堅固であれば、牛肉問題などは無視してもブッシュが理解してくれる。マッカーサー憲法の前文にうたってある空想的・文学青年的な世界は存在しない。国際政治は必ず武力の恫喝(どうかつ)を背景にするものであり、早く現実に慣れることが大切だ。中国に少しもまれた方が薬になるだろう。
(スタンフォード大学フーバー研究所元上級研究員・片岡 鉄哉・世界日報)
ここ二、三日のワシントンの動きから、日米「戦略目標」による米国の対中政策が「競争」から「封じ込め」と呼ぶに値するものに移行していることが読み取れる。
「戦略目標」と称する一見漠然とした政策は、二月十九日にワシントンで「2プラス2」、つまり日米の外務・国防相によって採択され、その狙いは中国による台湾武力解放を阻止することだった。
ことの起こりは昨年四月四日にイラクで起きた反乱軍の総攻撃だった。これは中国による台湾海峡での不穏な行動と並行するように仕組まれたものだ。イラクと中国は、米国を二正面戦争に追い込んで、漁夫の利を占めようというのだった。即座にチェイニー副大統領が訪日して、日米関係を攻守同盟に格上げする合意を小泉総理と結んだ。これが「戦略目標」に発展したのである。
日米戦略目標の強化で巻き返し「2プラス2」の時点ではイラク戦争はたけなわであり、中国を刺激するのを恐れた日米政府は「戦略目標」を非常に控えめに扱っていた。「戦略目標」は一九七二年、ニクソン大統領が合意した上海コミュニケの政策である“One China but not now”を踏襲したもので、台湾海峡での現状維持を尊重するものだった。アメリカは台湾の独立も、中国の武力解放にも反対するというのだ。
アメリカは「競争」と称する中国宥和(ゆうわ)の政策をとって、テロとの戦争を戦ってきた。ところが中国と北朝鮮は、その裏をかいて第二戦線を開き、背後を脅かす道を選んだ。これ以上北京・平壌の瀬戸際政策は許せない。日本とて武力解放に甘んじることはできない。
幸いにも、今年一月の選挙以降イラク問題は政治の場に移行し、米軍は大幅な撤退を考慮している。これで東アジアに展開できる。しかし、三月上旬に中国で全人代があり、「戦略目標」に真っ向から反対する「反国家分裂法」を採択した。これは武力解放に固執するものだ。
ここから米中緊張がエスカレートし、日本も傍観できなくなった。三月十六日からライス国務長官がアジアを歴訪し、インドのシン首相に、「インドを二十一世紀の世界的パワーにするような、決定的に幅広い戦略的関係をワシントンは考慮している」と言明した。すぐさま中国の温家宝首相がインドに飛んで、ライスを平手打ちするような中印パートナーシップに合意している。
次はアメリカの番だ。EUは中国への武器輸出を解禁すべく模索していたが、アメリカが猛烈に巻き返しの運動をしたらしくて、最近、武器輸出を人権問題とリンクさせるという線まで後退した。さらに、米財務省は、人民元の為替レートを緊急に変動制に切り替えるよう、強い圧力を掛けている。
こうなってくると、北朝鮮の核兵器に関する六者協議の場で、中国が金正日を説得するというシナリオは絵に描いた餅(もち)になる。
中国の反日デモは上記の文脈の中で起きたものだ。中国は小泉政権の扱い方について、試行錯誤をしていたもようである。全人代の時点では、靖国問題が消えてなくなり、日中首脳交流をうたっている。恐らく内部が分裂して、宥和派が小泉総理を招待して日米離間を図ったものと見える。
デモはその後に来るのだが、「戦略目標」も台湾も表に出さない。日本の国連常任理事国入りを最初問題にしたが、自分がメンバーだから説得力がない。そこで教科書を出してくるという様だ。アメリカ側では、政府もニューヨーク・タイムズも、当然のこととは言え、断固日本支持である。朝日はそれに引っ張られているのだ。
私は一向に心配していない。日米同盟が堅固であれば、牛肉問題などは無視してもブッシュが理解してくれる。マッカーサー憲法の前文にうたってある空想的・文学青年的な世界は存在しない。国際政治は必ず武力の恫喝(どうかつ)を背景にするものであり、早く現実に慣れることが大切だ。中国に少しもまれた方が薬になるだろう。
(スタンフォード大学フーバー研究所元上級研究員・片岡 鉄哉・世界日報)
これは メッセージ 1 (messages_admin さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/1143582/ffccf4x78_1/70342.html