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中国のGDPが米国を超える日

投稿者: dumjj 投稿日時: 2002/06/24 17:57 投稿番号: [25091 / 196466]
―時期を早める人民元の切り上げの可能性―


経済産業研究所   上席研究員   関志雄

70年代に改革開放政策に転換して以来、中国は高度成長期に入り、世界経済におけるプレゼンスを高めている。この勢いに乗って、いずれアメリカを抜いて世界一の経済大国になるのではないかという推測が浮上している。しかし、その時期に関しては、両国間の今後の実質成長率の差もさることながら、人民元の対ドルレートの推移にも大きく依存している。

中国は70年代末以降、年平均10%近い成長率を遂げたにもかかわらず、一人当たりGDPは(3万ドルを超える日本とアメリカに対して)未だ1000ドルにも達していない。この理由は、初期時点の水準があまりにも低かったことに加え、人民元が中長期にわたって下落し続けていることによるところが大きい。1978年の1ドル=1.68元と比べ、現在の1ドル=8.28元は80%も安くなっている。人民元は名目ベースで下がっているだけでなく、内外インフレ格差を調整した実質ベースでも減価している(図1)。これを反映して、米国のGDP規模に対する比率も、名目(ドルベース)で一割前後と格差が一向に縮まらない(図2)。

人民元の切り下げ傾向は、当局が輸出の競争力を高めるべく為替レートを人為的に低水準に維持しようとする結果であるという見方もあるが、当局が名目レートをコントロールできても、実質レートは経済のファンダメンタルズによって決まるはずである。無理して、為替レートを下げると、インフレが高まるため、名目レートの低下は必ずしも実質為替レートの低下をもたらすとは限らない。

実際、為替レートの中長期的傾向を考えるときに、自国通貨が、内外インフレ格差に比例して減価すると主張する(相対)購買力平価が一つの目安となる。購買力平価が成り立つことは、実質為替レートが一定であることを意味するが、為替レートを購買力平価から乖離させ、実質為替レートを変動させる力として働く次の二つの効果も見逃してはならない。

一つは、成長率の高い国ほど、実質賃金上昇率が高く、これを反映して実質為替レートの上昇も高いというバラッサ=サミュエルソン効果である。貿易財部門(製造業)の生産性上昇が高い場合、この部門の賃金上昇率も比例して高くなるが、国内では産業の如何を問わず賃金は平準化される傾向があるため、生産性の上昇が低い非貿易財産業(サービス業)においても、ほぼ同じ率で賃金が上昇する。これは、非貿易財の貿易財に対する相対価格の上昇をもたらす。貿易財(外貨建で見て)が所与である(小国の仮定)と考えれば、この相対価格の変動は、固定レートの場合、非貿易財(サービス)の価格、ひいては全体の物価水準(貿易財と非貿易財の加重平均)の上昇、国内物価の安定を目指す変動レートの場合、為替の上昇をもたらす。いずれの場合においても、実質為替レートが上昇する。
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