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「富強」を目指す中国の責任

投稿者: stik_inakuma 投稿日時: 2001/08/19 08:06 投稿番号: [19866 / 196466]
読売新聞   社説

   2000年   1月   5日   水曜日


中国はいったいどこへ向かっているのだろうか。

  世界、とりわけアジア太平洋地域の今後を考えるとき、その問いは切実かつ重要なものとなっている。中国の存在がますます重みを増しているからだ。

  中国自身の描く青写真によれば、二〇一〇年の国民総生産(GNP)を二〇〇〇年の二倍に増やすのが当面の目標だ。二十一世紀の半ばには近代化をなし遂げ、国民一人当たりのGNPで中進国の仲間入りを実現したいとしている。

  そのとき、「富強で民主的で文明的な社会主義国」ができあがっているという計算だ。日本を追い抜き、米国に肩を並べる経済大国になっているかもしれない。

  「富強」が国家目標である。経済力や軍事力、それに科学・技術力なども含めた「総合国力」を増強することだ。

  そこには、西欧列強や日本によって半植民地状態にさせられたという屈辱の歴史があり、その歴史に学んだ教訓がある。国力への信奉だ。

  中国は一九九七年の香港返還に続いて、昨年末にはマカオの返還を実現した。江沢民国家主席はマカオ返還に関して、「中国と中国人民の強大な力を物語る」と胸を張った。国力の躍進をもたらしたのは、過去二十年間の改革・開放だ。

  故トウ小平氏の功績に帰せられる改革・開放は、数千万人の餓死者を出した一九六〇年前後の大飢餓時代と、二千万人が「異常な死」を遂げたという文化大革命時代(一九六六年―七六年)の挫折から生まれた。

  [曲がり角に立つ改革・開放]

  経済の発展を何よりも優先し、そのためには平和な国際環境が必要だとして、全方位外交が追求された。おかげで年平均10%近い高度成長時代が到来し、GNPは世界七位にまでふくらんだ。国民生活も総体として着実に向上した。

  だが、建国五十周年を祝ったばかりの中国は、大きな曲がり角に直面している。

  経済成長の減速に、それがまずうかがわれる。成長率は、アジア経済危機の影響も加わって、一九九二年以降ずっと右肩下がりだ。昨年は目標の7%を超えたとされるが、鈍化傾向に変化はない。今年の目標も同じ7%と言われる。

  所得格差、地域格差が拡大している。個人間で、地域間で、貧富の差がますます大きくなっており、経済発展に取り残された人々や地域の不満が増大している。

  「金もうけはいいことだ」という哲学に支えられた改革・開放は、私益追求・拝金主義の風潮をはびこらせ、礼儀や道徳を廃れさせた。

  昨年「邪教」として弾圧された新興気功集団「法輪功」が、一億人とも言われる人々をひきつけた背景には、金銭しか信じられなくなった中国社会への批判がある。

  経済は市場経済、政治は一党独裁という「社会主義市場経済」が内包する矛盾も深まっており、一党独裁を続ける共産党や各レベルの政府で、腐敗が蔓延(まんえん)している。

  国民の共産党離れ、共産主義離れも深刻で、利害や価値観の多元化は、経済発展のためには権威主義的支配が必要だとする開発独裁的な政治体制を掘り崩している
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