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千々に乱す    高山正之

投稿者: yume_sarasa1211 投稿日時: 2012/01/17 23:49 投稿番号: [188280 / 196466]
変見自在     高山正之
週刊新潮 1 月 19 日   迎春特別増大号

千々に乱す

  英国はインド統治の手段として
イスラム教徒とヒンズー教徒、シーク教徒を憎み合わせた。
  ついでにパンジャブ人にベンガル人を憎ませ、ドラビダ人を差別させた。

  英国はその憎悪をもっと煽るため、イスラム系ベンガルとヒンズーの
ビハールを組み合わせて一つの行政区にしたこともある。

  英国はまたパンジャブ語もベンガル語も言語は文化だからとか言って
大事にさせ、とうとうインドに共通語を創らせなかった。
  今もインド公文書は二十二種の言語で書かれる。

  インド人はこの宗教、人種、言語の分断によって四世紀間も
いがみ合い、殺し合い続けた。
  力を合わせ英国に抵抗し、独立を勝ち取ろうという動きは生まれなかった。
  だから英国はたった千二百人の文官だけで四億人のインドを支配できた。
  その間、インドは周辺諸国にとっても何ら脅威ではなかった。

  ある国を千々に乱すのは支配する宗主国だけの芸当とは限らない。
  例えば米国はアラブ諸国のリーダー格だったイラクに「大量破壊兵器を持って
いる」と因縁をつけ、軍を出動させてサダム・フセインを亡き者にした。

  彼はイラクを縛ってきたイスラム勢力を抑え込んで女性にチャドルを
纏わないでいい自由を与え、キリスト教徒のタリク・アジズを外相に
据える安定した世俗政権を実現していた。
  その定が殺された途端、抑えられてきた宗教勢力が甦り、タリク・アジズに
死刑を宣告し、シーア派とスンニ派が果てることのない殺し合いを始めた。
  国は千々に乱れ、もはやイスラエルなど周辺諸国や米国にとって
何の脅威でもなくなった。

  米国がやることは品性の似た支那もやる。
毛沢東はよその国でなく、まず自分の国を千々に乱した。
  彼は登場するとすぐアンチ・ボルシェビキ(AB)退治の名で政敵を拷問して殺した。
性器と両耳に二本の針金を通してそれを二胡に見立てて爪弾く拷問は毛の発案だった。


つづく
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