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オリンピックとナショナリズム

投稿者: t_ohtaguro_2 投稿日時: 2007/09/23 17:29 投稿番号: [145817 / 196466]
  http://www.naash.go.jp/muse/culture/shimizu_2.html

                  清水   麗
                 (国士舘大学二一世紀アジア学部助教授)



  (省略)

  スポーツと中国のナショナリズムといえば、二〇〇四年夏に中国で開催されたサッカーのアジアカップで、観衆が見せた反日行動を思い出す日本人が多いだろう。
  しかし、中国が北京オリンピックを機に国内的統一の強化をはかり、対外的に地位の向上を示そうとするとき、ナショナリズムと結びついて政治問題化する可能性が大きいのは、中国と台湾の関係である。
  中国と台湾は、台湾の存在をどう位置づけるかについて合意をみていない。
  台湾を「不可分の領土の一 部」、一つの省であると位置づけるのが中華人民共和国、つまり中国の主張である。
  一方、台湾は自らを中華人民共和国とは異なる政治実体、国であると位置づけ、中台分裂状況を互いに認め合うべきだと主張する。
  近年経済的には年々緊密な関係へと発展している一方、この主張の対立は平行線をたどり、政治的に は緊張をかかえたままだ。

  現在オリンピックには、中国はChina として、台湾は Chinese Taipeiとして参加している。
  中国のオリンピック委員会(以下、中国NOC)は、一九五四年に国際オリンピック委員会(以下、IOC)で承認されたが五八年に脱退、七九年に改めて承認された。
  一方、台湾のNOCは、当初中国大陸で組織され、一九二二年にIOCに加盟した。
  その後、中華民国政府は 一九四六年からはじまった中国共産党との内戦に敗れ、一九四九年には政府を台北へと移した。
  これに伴い、台湾NOCも台北へ移転し、その後は名称や大会 参加をめぐり紆余曲折を経たが、一貫して加盟していた。
  台湾NOCは、大会参加にあたりRepublic of China, Taiwan, Formosa Taiwan など、さまざまな名称を使わざるを得なかったが、八一年に「Chinese Taipei」を用いるとの合意に達した。
  中台双方が実際に選手を送り同時参加が実現したのは、八四年のロサンゼルス大会である。

  この中国と台湾のIOC加盟と名称をめぐる係争の第一段階(四九〜七一年)では、両政府は「一つの中国」の原則のもとで China としてのメンバーシップを争奪する外交闘争をIOCという場で繰り広げた。
  七一年に台湾の中華民国政府が国連を脱退し、多くの国際組織では中華人民共和国代表が China としての地位を継承するかたちになり、台湾は脱退を余儀なくされた。
  しかし、IOCは中国NOCの加盟を承認しつつ、台湾NOCのメンバーシップには影響を及ぼさないとの立場をとった。
  その代わりに「中華民国」の名称、国歌、国旗などナショナルなものに結びつくものの使用を制限することを台湾に要求した。
  どんな名前を用いるか、これは台湾が内外で自らをどう位置づけるかの大問題であり、裏返せば中国の大問題でもある。
  その係争の結果、台湾は中華人民共和国とは異なる存在であることを対外的に示す名称としてチャイニーズタイペイを選んだのだった。

  ところが漢字文化圏では、チャイニーズタイペイとは「中華台北」か「中国台北」か、という表記の問題が残った。
  この微妙なニュアンスの争いは、「およそ 非漢字文化圏の人間には理解が困難」と当時IOCの会長だったサマランチもお手上げだった。
  しかし、漢字一字の違いであっても、中国と台湾の関係をどう表現するのかは現実の両者の関係に影響を及ぼす。
  そのため、漢字をつかう日本としても不用意な姿勢はとれない問題である。
  八九年に「中華台北」と表記するとの合意が中台間で得られたが、実際には中国共産党の機関紙である『人民日報』などには現在でも「中国台北」と表記されている。
  「中国台北」 の方が、台湾が中国の一部であるとの含意を強くもつからだ。

  とはいえ、北京オリンピック開催について台湾は好意的に受けとめている。
  もちろん、経済的には台湾企業のメリットは小さくなく期待も高い。
  しかし、二〇〇四年のアテネ大会の際には中華民国国旗を競技場観客席に持ち込んだ若者が、大会側から制止されるという出来事も起きており、中台両者をめぐるナショナリズムはいまだ多くの火種を残している。

  (省略)
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