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恵竜之介氏の評論より>97式ちゃん

投稿者: jyoui 投稿日時: 2000/10/24 14:52 投稿番号: [14371 / 196466]
明治10年、琉球王府は廃藩置県に反対し、在京の清国および列国公使に特使を派遣して現状維持を愁訴した。清国はこれに応えて翌年わが国に抗議するとともに、明治13年、琉球列島の三分案を主張してきた。一方政府は、清国に気兼ねしながら、沖縄近代化を推進するため、琉球王に旧大名四十万石担当という破格の家禄を与えて、旧琉球王府の支配者層を壊柔しようとした。ところが、彼らは既得権を固守することしか念頭になく、政府は焦燥に駆られていた。
  明治27年8月1日、日清戦争が勃発する。沖縄では県民が清国派と日本派に分かれ、双方で乱闘事件さえ起こしていた。とくに清国派は旧士族階級が多く優勢であったため、徒党を組んで神社仏閣に参拝し、清国の勝利を祈願した。また県民のなかにも「黄色い軍艦が沖縄へ救援に来る」という流言が横行した。そこで県内に居住する他府県人は万一に備え、自警団を組織し、かつ子女を本島中部の山間に疎開までさせた。
  しかし、ここで大きな転機が訪れる。清国の敗北である。そこで政府は、3年後の明治31年、沖縄へ徴兵令をようやく施行した。このとき、かつての清国派の一部は中国へ逃亡する。明治32年、『大阪朝日新聞』に「琉球人福州に寄食す」という見出しで清国政府の厄介になっている県民が批判されているのだ。
  琉球王府が中国に傾斜したことには訳がある。この点がまた、琉球王国が国家としのレジテマシーに欠ける部分でもある。
  琉球は14世紀ころから明国に朝貢するようになった。そして琉球王は中国皇帝の冊封を受ける。朝貢貿易の返礼は「唐一倍」と呼ばれ、琉球王府は十割近い儲けを亭受するようになった。また1491年に即位したとされる尚真王は、権力基盤を確立するため沖縄に身分制度を設け、刀狩りを行い、有力士族には家禄を与えて王府首里に住まわせた。
  ところが民衆は「地割制」というシステムに組みこまれ農奴と化する。土地私有はいっさい禁じられ、一定年限ごとに村落ごと耕作地を交代させられた。さらに離島農民へは人頭税が課せられ、本島農民の三倍以上という重税が課せられた。
  しかし琉球の実質的統治者は、じつは琉球人ではなかった。これこそが中国移民、客家である。
  琉球では彼らを唐栄と呼んだが、王府首里城では、旧正月に琉球王がこの唐栄の号令に従って、北京の柴禁城の方角に向い三跪九叩の礼を行った記録もある。また、かつて琉球王国は広く海外交易に従事したと流布されているが、県民性にはそういった特性は見いだせない。明治34年8月、地元出身、漢那憲和海軍中尉(のち少将、大正10年昭和天皇皇太子時代、欧州御外遊時の御召艦艦長)が那覇で行なった講演で、「本県人が海に心を掛けているのは、一部分の糸満はあるけれども一般は冷淡で海を恐れること甚だしいと述べている。
  琉球の海外交易の話は、この客家の存在で十分説明がつく。また沖縄民俗学の祖といわれた伊波普猷氏も「廃藩置県は半死の琉球王国が破壊されて琉球民族が蘇生したのは寧ろ喜ぶべきことである」と述べているのだ(『沖縄新聞』明治42年12月)
  話は昭和に転じる。
  昭和21年、沖縄出身の日本共産党書記長・徳田球一氏が党大会において「沖縄民族は少数民族であり歴史的に搾取、収奪された民族である」と発言し、沖縄独立論を唱導した。またその前年、沖縄人連盟が東京で発足(会長、伊波普猷氏)。そのテーゼに「朝鮮人連盟と連帯する」というテーゼが採択され、連盟の会員は一時、いわゆるポツダム・マルキストを含め全国に7万人を数えた。そしてこれを見た当時のGHQまでもが、「沖縄返還にあたっては、日本復帰か独立か住民投票にかける」と公言したのである。
  以上、現在とまったく異なった琉球史の真相を吐露したが、昭和40年代初頭より琉球史が本土への極端な抵抗史観的視点で描かれるようになった。そこには、本土復帰運動が活発になるかで、敢えて半日的な気運を醸成するための策動があったことも否定できない。
  従来、沖縄の復帰運動は米軍政府に対し国旗揚揚、国家斉唱の自由を求める純粋な民族運動から出発した。ところが、昭和42年ころから過激なイデオロギー闘争に変質し、反米軍、反日といった色彩が強くなっていったのである。
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