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特攻隊・・・

投稿者: nihao_aq_jp 投稿日時: 2007/07/17 01:13 投稿番号: [141952 / 196466]
私がまだ若者だった頃、バイトではなく初めて正規に就職した時、そこで初めての上司は特攻隊の生き残りだった。
ある晩、その上司と職場で酒を呑む機会があり、呑みながらいろいろ話をした。そして、その上司は私に昔の話を語って聞かせた。

練習機に搭乗して、旋回しながらグルグル螺旋(らせん)状に上昇して高度を上げる。バランスを崩すと機体が傾き、失速するし、気流が乱れるとガタガタ、ガタガタ、壊れるじゃないかと思えるぐらいに機体が揺れて怖ろしい・・とか、そんな話を聞かせてくれた。
懐かしそうに、呟(つぶや)くように。

特攻隊に志願して、初めて出撃命令をもらった時、たまらない、苦しい気持ちで走ったそうだ。長い長い滑走路を訳もなく走り、飛行場の片隅まで走って行ったら、そこの草むらにバッタだったか、カタツムリだったか、小さな生き物を見つけたそうだ。

その小さな生き物を見ながら思ったそうだ。
自分は明日にでも死んでしまう。それなのに、自分が死んでも、この生き物たちは明日も明後日も、まだ死なずに生きていられる。
そう思うと、その小さな生き物たちが羨(うらや)ましくて、羨ましくて仕方なかったそうだ。
そして、死なねばならない自分自身が可哀そうで可哀そうで、あまりに惨めで、しばらく一人で泣いていたそうだ。

出撃命令が出て、やがて取り消し。命令が出ては、やがて中止になって、そんなことを何回か繰り返しているうちに戦争が終わったそうだ。

あの上司は、どうして私にそんな体験を語って聞かせたのだろう?
1つは、私がそんな話を真面目に、真剣に聞いてくれると思ったから・・
1つには、多分、その時の私の年齢が上司の特攻隊の時の年齢と同じだったからだろう。

あの上司は私に言った。
「あなたたちは幸せだ・・」と。

青春を謳歌して、それまでフワリフワリと生きていたが、生死の境に直面した人の気持ちを聞いて以降は、私の生き方も随分変わった。
最近、あの上司の姿や言葉を思い出して、私は時々涙を流す。
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