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大卒者増加…就職率伸びぬ中国 

投稿者: valakooda 投稿日時: 2005/11/28 20:22 投稿番号: [104047 / 196466]
大卒者増加…就職率伸びぬ中国   現代の科挙   狭き門、今年は35倍

  【北京=伊藤正】千四百年前の隋代に始まった高級官僚の採用資格試験「科挙」が清末に廃止されて今年は百周年。中国では学歴社会化に伴う、一流大学への進学競争が「現代の科挙」になぞらえられる。しかし、貧富の格差が拡大する一方、教育の「産業化」が進み、貧困家庭の子女にとっては高等教育を受けるチャンスは激減、高級官僚への道はほとんど閉ざされているのが現実だ。
  中国は今年、国家公務員法を制定、来年一月一日から施行する。同法では中央、地方の国家公務員を指導職(課長以上の幹部)と非指導職(一般事務・技術職など)に分類、それぞれ採用試験を行う。
  高級官僚の登竜門になる大卒者以上を対象にした二〇〇六年の採用試験は今月二十六日に全国で一斉に始まった。九十七部門の国家機関の採用予定数一万二百八十二人に対し、前年比47%増の約三十六万五千人が応募、競争率は約三十五倍の狭き門だ。
  近年、公務員志願者が年々急増している背景の一つには、大卒者の就職難がある。
  過去二、三年来、就職率は七割前後にとどまっている上、今後の見通しはさらに厳しい。大卒者数は来年は四百万人を超え、十年前の十倍にもなるからだ。
  中国紙「工人日報」によると、中国人民大学の鄭功成教授は、中国の労働者の90%は基本養老保険に未加入で、国民の85%は基本医療保障がない事実を指摘、これに対し公務員は各種保険のほか交通、住宅、福利など万全としている。現代の高級官僚は、科挙時代の官僚に近い特権階級になりつつある。
  科挙制度は一九〇五年九月、千三百年の歴史を閉じた。その百周年記念に福建省の廈門(アモイ)大学で開かれた国際シンポジウムでは、科挙の評価をめぐって激論が交わされた。科挙を封建制とする批判の半面、制度の公平さを指摘する意見が少なくなかった。成都大学の王怡氏によると、唐から清までに高級官僚の「進士」登用された約十万人の半数は、過去三代にわたり名もない平民家庭出身で、「宋史」中の官僚のうち46%は貧困層出身、その比率は明代初期の百年間には58%に増えたという。
  科挙の最大の特徴は、身分、民族、経歴や地域を問わず優秀な人材を公平な試験によって発掘した点であり、科挙廃止後に公務員の採用や幹部の登用が縁故や軍歴などになった弊害を王氏は指摘。近年の学歴偏重は、科挙に回帰したようにみえるが、現行の高等教育制度は、機会均等の条件を欠いている。
  中国社会科学院の王奇生研究員の著述によると、清末まで、中国の知識階級の九割は農村に住み活動していたが、科挙廃止後は、知識階級は都市部に移り、農村の知的水準の低下が始まったとする。
  毛沢東は都市と農村の教育格差是正も目指したが、九〇年代半ばに、教育の産業化が始まり、小中学の公教育が有料化され、高等教育の授業料が高騰、格差は一段と広がった。農村部の公教育は教育予算の不足や教員の流出などで低落傾向を続ける一方、農民には平均年収の何倍もする高等教育を子女に受けさせることは困難になった。
  中国では、義務教育の無料化もまだごく一部で始まったばかりだ。儒学の知識を重視した科挙の弊害もあったにせよ、不公平社会での学歴偏重よりはましだったとの認識が広がっている。
(産経新聞)
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