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深刻な汚染状況・技術と意識改革

投稿者: deliciousicecoffee 投稿日時: 2007/04/16 04:20 投稿番号: [5352 / 9280]
【中国を読む】真の環境保護協力とは   福島香織
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/47781/

  町に充満する刺激臭に吐き気を覚えた。昨年末、重慶市を訪れたときのこと。製薬工場の汚水処理場の排水口からほとばしる水は白く泡立ち、その泡は消えずに長江の支流・嘉陵江の広い水面を覆っている。川岸から離れて丘の方に足をむけると古い体温計工場。ここから漏れ出る水銀で土壌が汚染されているのか、畑一面のキャベツが植わったまま腐っていた。
  まるでレイチェル・カーソンの「沈黙の春」の世界だ。だが中国の地方ではこんな状況は、特に珍しくもない。だから人々に危機感はみじんもなくて、近くの食堂に入れば女たちはせかせかと給仕にいそしみ、男たちが酒を飲みながら火鍋をつつくそばで子供が遊ぶ。その魚はどこから、と聞くのも恐ろしくて、私も黙って注文した料理にはしをつけた。

  このほど東京で行われた日中首相会談では日中の省エネ・環境協力が強く打ち出された。だがあの汚染末期症状を思い返すと、わずかばかり技術協力がどれほど役にたつのかとも思う。

  ■深刻な汚染状況

  いまさらだが、中国の環境汚染は相当ひどい。目下の公式データでは、全国70%の河川が汚染され、40%が使用不可能、都市の地下水の95%以上が汚染され、国土の3分の1に酸性雨が降る。工場排水やゴミ、農薬、化学肥料などによる土壌汚染は耕地の10%以上で、その経済損失は年間200億元。

  最近は、汚染の人体への影響も注目されており、全国で年間1500万人の気管支炎、2・3万人の呼吸器系疾患、1・3万人の心臓病死が環境とかかわりがあるといわれる。鉛中毒症の児童は全国に20万人以上、都市の夫婦の1割が不妊や異常出産に苦しみ、全国200万人のがんによる死者の7割について環境汚染との因果関係を指摘する医師もいる。こういった内容は新華社系雑誌など中央メディアが報じたものだ。
  日本も振り返れば、水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく…と、世界にまれに見る大規模公害を高度経済成長期に経験した。えらそうに言うつもりはない。ただあんなすさまじい悲劇はもう、どこの国であろうと起こってほしくない。そのために、日本ができることをする、というなら国民としておおいに支持したい。
  だが、現場で感じた人々の意識の低さに一抹の不安を感じる。中央政府は環境保護に熱心らしいが、住民があんな状況では、いくら技術や金を投入しても、どぶに投げ込むようなものではなかろうか、と。

  ■技術と意識改革

  日本の今の高水準の環境技術と環境意識は、公害裁判という長く厳しい闘いの中で築かれたものだろう。住民が団結し粘り強く戦い、巨大権力である大企業や地方自治体・国に反省を迫ったプロセスが国民の環境意識を鍛えた。それを可能にしたのは、曲がりなりにも司法が独立し、体制批判報道の自由がマスコミに与えられていた日本の民主主義システムのおかげであった。

  関係筋によれば、中国政府も公害裁判関連の法整備を考えているという。中国でも企業が巨額の賠償金という傷みを経験しなければ、状況は変わらないという意見は多い。しかし、デモや集会、報道の自由もなく、共産党の指導に従ってしか機能しない司法のもとで、あの複雑な公害裁判が行えるのか。
  そう考えると、真の日中環境保護協力とは、技術や資金の提供だけでなく、中国の政治改革に向けた適切なアドバイスも含まれるべきではないのか、と思うのだ。
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