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始末書

投稿者: steffi_10121976 投稿日時: 2007/03/10 19:40 投稿番号: [5284 / 9280]
初めまして。
いきなり私事で恐縮ですが、1年ほど前からある外資系金融機関でアジア各国の中小企業を対象とした資本政策立案に関する営業を担当させていただいております。
この仕事は定型商品の売込みとは違って、取引先のニーズや実情に合わせて個別のプランを提案し、さまざまな条件折衝を重ねたうえで最終的な契約に持ち込んでいくのですが、先日、調印日当日になって当方から契約を撤回するという事態を経験いたしました。
相手先は上海所在の某オーナー企業。
原因は、先方が土壇場でこれまでの交渉で合意したはずの契約条件に難癖をつけ、不当な譲歩を引き出そうと画策したことです。

およそどのようなビジネスの世界であっても、そのような条件交渉は契約締結の合意に至るまでの段階ですべて決着しているのが常識であり、基本契約書を含む全書類が完成している調印日当日になって、「ここが気に入らない、あそこも気に入らない。直せ!」などという話が通用するはずがありません。
契約締結の全権を委任されていた私としては、もちろん誠意をもって説得を試み、事態の収拾を図りましたが、相手の態度があまりにも強硬で傲慢なため、とうとうキレて、にこやかな笑顔で一言静かに「破談」を通告いたしました(式後にセットしていた懇親ランチも当然キャンセルです)。

直後に、私の所属する部署のトップあて当該オーナーからクレームの手紙が送りつけられてきたのですが、その内容が笑えました。
いわく「中国人としての気持ちを傷つけられた」そうです!
こういう言い方をすれば日本人はみな平伏すると思っているのでしょうが、それは同時に当方のビジネス・ネゴの進め方や契約書の内容自体にルールや信義に反する点はなかったということを先方自身が認めたことにもなります。

実は、破談には到らなかったまでも今回と類似の事例は、私を含む当社のスタッフがこれまで何度も経験しています。
そして、相手は例外なく中国人もしくは華人系の企業です。
もちろんすべての中国人がそうであるとは思いませんし、台湾やマレーシアの企業などはおしなべて非常に真摯な対応をしてくれますが、中国本土のビジネス社会においては、急速な経済発展の一方で、「契約」という概念がいったい企業経営者にどのように認識されているのか、すこぶる疑問に感じる局面があまりにも多いのも事実です。
もっとも、対中ビジネスの経験の豊富な上司や先輩方に聞きますと、つい20年ほど前の中国では、世界的に名を知られた大企業や、政府系の公社までもが同様な体質であったそうです。
特に相手が日本人と見ると、容赦なく理不尽な要求をしてくる。その「心」は日本人ならば道理を引っ込めて無理を通してくれるということであったとしたら、あまりにも情けない話ではありませんか?

とにかく政府レベルであれ、民間の商業ベースであれ、中国と真剣にパートナーシップを築いていきたいとして気持ちがあるのならば、絶対に彼らの不条理に迎合してはならないと思います。
そのような目先のトラブル回避では真の信頼関係など成り立たないことは自明の理であるからです。
そしてそれは中国および中国人にとっても、決して利益にならないことは申しあげるまでもありません。



ところで、私の「破談宣告」の顛末ですか?
もちろん上司に始末書を提出しましたよ。
私って仕事面では安易な譲歩をしない主義なので、よく顧客とトラブルを起こし、社内では「ミス始末書」という不名誉な称号をいただいております。
これが日本の銀行だったらたちどころに懲戒処分といったところでしょうが、幸い媚中とは無縁の国の会社なので、お咎めなしです。
それからくだんのオーナー企業には、「幻の調印式」に要した費用を折半で負担せよとの通告書を送らせていただきました。
今のところ反応はありませんが、そのうちまた「気持ちを傷つけられた」というお返事が返ってくるのではないかと楽しみに待っているところです。(♪)



your Steffi
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