『中国の本当の危なさを知らない日本人』
投稿者: hangyosyufu 投稿日時: 2005/11/13 14:42 投稿番号: [4310 / 9280]
柘植久慶(PHP)
冒険作家の柘植さんから、何回か中国からの絵はがきを頂いて、それも結構な奥地、マニアックな場所から。太平天国の舞台を歩いているとの挨拶が添えられていた。
さすがは元外人部隊。体力はちっとも衰えないでご活躍が続くと思っていたが、それは三国志の旅(『三国志合戦事典』(PHP刊))などに結実した。
余力を駆って、今度は中国論に挑戦である。
一気に通読、いやはや面白いのだ。冒険作家の取材とは、こういう視点から各地に行って、ものを見てくるのかと感心させられる場面もいくつかあるが、銀行アナリスト、官僚エコノミスト、証券ストラテジストらの定点観測とはまったく違った中国経済へのアプローチが迫力に溢れ、しかも意外性に富み、有益な情報が満載なのである。
大学生の失業の実態から、エイズ、水不足などについてはマスコミでも多少は語られるようになったとはいえ、柘植流の現地報告は一風変わっている。
どこが変わっているか。
かれはアフリカの奥地コンゴ、アルジェリアで外人部隊として参戦し、さらにはラオスでも特殊部隊として実際に戦争を闘ってきた。
戦争では食糧確保、水の確保、自分の力によっての本能的サバイバル技術が生きるか死ぬかの岐路を分ける場面が多い。
この法則から中国を眺めるだけではなく実際に現場を歩いて、多くの中国人と議論をした独特な“触感”が活かされている。
不良債権、ノンバンクの破綻、生産拠点としての魅力崩壊、モラルハザードなど、全ての問題を「本能的」な直感をもとに議論しているところにも本書の魅力とダイナミズムが横たわっている。
そして結論的に2008年オリンピックを待たずとも中国の崩壊が始まり、やがては三国に分裂していくだろうが、そのプロセスで進出した日本企業は人質化するだろうと、不気味な予測も説得力がある。
だが、やっぱり柘植さんの異彩が放たれているのはテロ、サイバー、スパイ、兵器に関しての詳細な叙述であり、ある時はサンフランシスコの中国領事館の真ん前のホテルに双眼鏡片手に三日間張り込んで、実際のシリコンバレーにおける中国のスパイの動きまで克明に書き込んでいる。
おそらく次の小説につかうための取材だろうが、そういう意識から副次的にうまれてきた中国のルポゆえに、「えっ。本当?」という信じがたい情報にも納得がいくのである。
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