格差是正進まず 暴動、腐敗深刻
投稿者: deliciousicecoffee 投稿日時: 2005/10/13 00:01 投稿番号: [4134 / 9280]
空疎な「調和社会」
格差是正進まず
暴動、腐敗深刻
高度成長の陰で格差が広がり、官僚の腐敗も深刻化するばかり。それに対する国民の不満、怒りがうずまき、暴動や紛争が頻発する中国の現状を、ある政治学者は「清朝末期に似た症状」と言い、中国共産党自身の危機感も深い。十一日閉幕した第十六期中央委員会第五回総会(五中総会)が、成長より安定重視の「和諧社会」(調和のとれた社会)建設を目指した背景だった。
五中総会の直前、二つの象徴的な事件があった。広州市郊外の太石村という人口二千人の村で起こった村民委員会主任(村長)罷免運動と重慶市の大手国有企業「重慶特殊鋼」の破産宣告に伴う従業員の抗議活動だ。
太石村では一九九〇年代半ば以降、工場用地として大量の農地を収用したが、村の経済は停滞、財政も赤字続きだった。農地を失い、貧窮化した農民側は、村長の不正を疑い財務公開を要求、拒否されると、罷免に必要な数の署名を集め、罷免委員(七人)選挙で村側に完勝、罷免は確実になったかにみえた。
当局側は警察を動員して村民多数を拘束、村民に署名撤回の圧力をかけ、罷免委員も九月末までに全員が辞退、当局側候補者が繰り上げ当選、村長は罷免を免れた。地方当局が経済発展を名目に開発業者と癒着、「失地農民」を力で押さえ込む、よくある一例だった。
重慶市のケースは経営難に陥った国有企業の破産が発端。家族を含め数万人規模の従業員への補償が不十分だったため、八月以来、抗議デモを繰り返した。今月七日、当局側は警察で弾圧、従業員側に死者二人を含む多数の重軽傷者が出た。
国有企業の整理統合や賃金の未払いなどをめぐる紛争は各地で頻発。昨年、全国で発生した労働者、農民の抗議行動は七万四千件で、前年の五万八千件から急増、今年は九万件を突破すると推定されている。
成長第一主義が生んだ問題は多岐にわたり、原因も複雑だが、党官僚が権力をバックに業者と癒着、私利を図ることが国民の怒りを買う。農地の強制収用はその典型だ。農村は医療、教育などで差別され、出稼ぎ者も劣悪な条件で搾取される。
清華大学の胡鞍鋼教授は早くから党に警告、昨年九月の四中総会では、初めて「和諧社会」建設を打ち出したが、格差拡大は続き、腐敗にも歯止めはかからなかった。昨年来、大規模な暴動事件が頻発する理由だ。
これまで共産党がとってきた対応策は、情報統制と警察力に頼る専制手段の行使が基本だ。他の多くの紛争同様、太石村、重慶市の事件とも報道を禁じ、警察力で住民を沈黙させた。五中総会コミュニケは「民主・法治」「公平・正義」などの美辞を並べ、「人民の利益を最優先」と述べているが、進行中の現実の前では空疎に響く。(伊藤正)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/12iti002.htm
高度成長の陰で格差が広がり、官僚の腐敗も深刻化するばかり。それに対する国民の不満、怒りがうずまき、暴動や紛争が頻発する中国の現状を、ある政治学者は「清朝末期に似た症状」と言い、中国共産党自身の危機感も深い。十一日閉幕した第十六期中央委員会第五回総会(五中総会)が、成長より安定重視の「和諧社会」(調和のとれた社会)建設を目指した背景だった。
五中総会の直前、二つの象徴的な事件があった。広州市郊外の太石村という人口二千人の村で起こった村民委員会主任(村長)罷免運動と重慶市の大手国有企業「重慶特殊鋼」の破産宣告に伴う従業員の抗議活動だ。
太石村では一九九〇年代半ば以降、工場用地として大量の農地を収用したが、村の経済は停滞、財政も赤字続きだった。農地を失い、貧窮化した農民側は、村長の不正を疑い財務公開を要求、拒否されると、罷免に必要な数の署名を集め、罷免委員(七人)選挙で村側に完勝、罷免は確実になったかにみえた。
当局側は警察を動員して村民多数を拘束、村民に署名撤回の圧力をかけ、罷免委員も九月末までに全員が辞退、当局側候補者が繰り上げ当選、村長は罷免を免れた。地方当局が経済発展を名目に開発業者と癒着、「失地農民」を力で押さえ込む、よくある一例だった。
重慶市のケースは経営難に陥った国有企業の破産が発端。家族を含め数万人規模の従業員への補償が不十分だったため、八月以来、抗議デモを繰り返した。今月七日、当局側は警察で弾圧、従業員側に死者二人を含む多数の重軽傷者が出た。
国有企業の整理統合や賃金の未払いなどをめぐる紛争は各地で頻発。昨年、全国で発生した労働者、農民の抗議行動は七万四千件で、前年の五万八千件から急増、今年は九万件を突破すると推定されている。
成長第一主義が生んだ問題は多岐にわたり、原因も複雑だが、党官僚が権力をバックに業者と癒着、私利を図ることが国民の怒りを買う。農地の強制収用はその典型だ。農村は医療、教育などで差別され、出稼ぎ者も劣悪な条件で搾取される。
清華大学の胡鞍鋼教授は早くから党に警告、昨年九月の四中総会では、初めて「和諧社会」建設を打ち出したが、格差拡大は続き、腐敗にも歯止めはかからなかった。昨年来、大規模な暴動事件が頻発する理由だ。
これまで共産党がとってきた対応策は、情報統制と警察力に頼る専制手段の行使が基本だ。他の多くの紛争同様、太石村、重慶市の事件とも報道を禁じ、警察力で住民を沈黙させた。五中総会コミュニケは「民主・法治」「公平・正義」などの美辞を並べ、「人民の利益を最優先」と述べているが、進行中の現実の前では空疎に響く。(伊藤正)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/12iti002.htm
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