「シェーン、カミングアウト」
投稿者: arisugawahiro_0 投稿日時: 2003/04/15 05:01 投稿番号: [155705 / 177456]
>在米ジャーナリスト 堀田佳男 のワシントンDCコラム、「急がばワシントン」です。
[2003/04/3] #21
シェーンと米軍
チャンネル・サーフィンが好きである。
アメリカのテレビ・チャンネル数は住む地域によって随分ちがいがある。自宅のあるバージニア州アーリントン郡でケーブルに加入すると約100チャンネルが視聴でき、リモコンが右手にのり付けされたように離れない時がある。ほとんどの局が24時間ずっと映像を流しているので、午前3時半に突然目覚め、その後寝付けないで困った時などはテレビを観る。
米軍がバクダッドに空爆を開始した3月19日夜もCNNやMSNBCといったニュース局を中心に、20、30局を「サーフィン」していた。11チャンネルのAMC(アメリカン・ムービー・クラッシック)という局にリモコンが合った時、男優アラン・ラッドの顔が映った。AMCは24時間、「オー、懐かしいジャン」という映画を流しつづけている。アラン・ラッドと一緒にジーンズのオーバーオールを着た短髪の子役が登場したので、すぐに「シェーン」だとわかった。
1953年に一般公開された「シェーン」はワイオミング州グランド・ティートンを背景に、ガンマンのシェーンが善良な開拓者をたすけるため、悪者のライカー一家と彼らに雇われたガンマンのウィルソンを射殺する西部劇の代表作だ。最後に少年ジョーイが「シェーン、カムバック」とやると、なんど観ても頬に水滴がつたう。
今回あらためてストーリーを注視した。すると米軍がフセインを叩きにいった内容とほとんど変わらないことに気づいた。ライカー一家は殺し屋まで雇って開拓者たちに不条理な土地の明け渡しを迫るが、農民たちを直接襲撃してはいない。シェーンは「いいガンマン」として描かれるが、自分から酒場に出向いてライカー一家とウィルソンを撃ち殺す。つまり先制攻撃をしてヒーローとなるわけだ。
その日、AMCが開戦を意識して故意に「シェーン」を放映したのかどうか、カリフォルニア州サンタモニカにあるAMC本社に電話で確認をとった。すると「偶然だった」と回答する。19日の放映から1週間後、またチャンネル・サーフィンをしていると再びアラン・ラッドの姿があった。AMCは「シェーン」を再放送したのだ。この局は短期間で同じ映画を再放送することがよくあるが、「シェーン」は米軍の美化に思えた。
悪い奴は自ら出向いて殺してくる −。
その事理は開拓時代だけではなく、現在のアメリカ人の無意識下にも息づいているようだ。日本でも桃太郎侍が悪代官を斬り捨てると、脳内にドーパミンが出てスッとするのに似ている。が、今の日本で悪人を問答無用で斬り捨てることに賛同する人がいるだろうか。
けれどもこの考え方はブッシュ政権の高官たちに確実に支持されている。現政権にもっとも影響力をもつ保守系シンクタンクであるAEI(アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所)の研究員マイケル・レディーンは、白髪の混じった髭をいじりながらこれ以上はっきり語れないくらい明確にいう。
「戦争で死傷者がどれくらいでるかは二の次なんだよ。聞こえはよくないが、アメリカ人は戦争が好きな国民なんだ。死傷者がどうこうより、負けることが一番嫌い。私のもっとも好きな言葉はパットン将軍(第二次世界大戦の大将)の『アメリカは戦争が大好きだし、戦闘そのものも好きだ。いつも闘ってきたし、楽しんできた』だ」
すぐ横に座っていたCIA元長官、ジェームズ・ウージリーも一言。
「同感だね」
私はタメ息しかでなかった。今後「シェーン」を観てもラストシーンでは泣かないかもしれない。
(文中敬称略)<
[2003/04/3] #21
シェーンと米軍
チャンネル・サーフィンが好きである。
アメリカのテレビ・チャンネル数は住む地域によって随分ちがいがある。自宅のあるバージニア州アーリントン郡でケーブルに加入すると約100チャンネルが視聴でき、リモコンが右手にのり付けされたように離れない時がある。ほとんどの局が24時間ずっと映像を流しているので、午前3時半に突然目覚め、その後寝付けないで困った時などはテレビを観る。
米軍がバクダッドに空爆を開始した3月19日夜もCNNやMSNBCといったニュース局を中心に、20、30局を「サーフィン」していた。11チャンネルのAMC(アメリカン・ムービー・クラッシック)という局にリモコンが合った時、男優アラン・ラッドの顔が映った。AMCは24時間、「オー、懐かしいジャン」という映画を流しつづけている。アラン・ラッドと一緒にジーンズのオーバーオールを着た短髪の子役が登場したので、すぐに「シェーン」だとわかった。
1953年に一般公開された「シェーン」はワイオミング州グランド・ティートンを背景に、ガンマンのシェーンが善良な開拓者をたすけるため、悪者のライカー一家と彼らに雇われたガンマンのウィルソンを射殺する西部劇の代表作だ。最後に少年ジョーイが「シェーン、カムバック」とやると、なんど観ても頬に水滴がつたう。
今回あらためてストーリーを注視した。すると米軍がフセインを叩きにいった内容とほとんど変わらないことに気づいた。ライカー一家は殺し屋まで雇って開拓者たちに不条理な土地の明け渡しを迫るが、農民たちを直接襲撃してはいない。シェーンは「いいガンマン」として描かれるが、自分から酒場に出向いてライカー一家とウィルソンを撃ち殺す。つまり先制攻撃をしてヒーローとなるわけだ。
その日、AMCが開戦を意識して故意に「シェーン」を放映したのかどうか、カリフォルニア州サンタモニカにあるAMC本社に電話で確認をとった。すると「偶然だった」と回答する。19日の放映から1週間後、またチャンネル・サーフィンをしていると再びアラン・ラッドの姿があった。AMCは「シェーン」を再放送したのだ。この局は短期間で同じ映画を再放送することがよくあるが、「シェーン」は米軍の美化に思えた。
悪い奴は自ら出向いて殺してくる −。
その事理は開拓時代だけではなく、現在のアメリカ人の無意識下にも息づいているようだ。日本でも桃太郎侍が悪代官を斬り捨てると、脳内にドーパミンが出てスッとするのに似ている。が、今の日本で悪人を問答無用で斬り捨てることに賛同する人がいるだろうか。
けれどもこの考え方はブッシュ政権の高官たちに確実に支持されている。現政権にもっとも影響力をもつ保守系シンクタンクであるAEI(アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所)の研究員マイケル・レディーンは、白髪の混じった髭をいじりながらこれ以上はっきり語れないくらい明確にいう。
「戦争で死傷者がどれくらいでるかは二の次なんだよ。聞こえはよくないが、アメリカ人は戦争が好きな国民なんだ。死傷者がどうこうより、負けることが一番嫌い。私のもっとも好きな言葉はパットン将軍(第二次世界大戦の大将)の『アメリカは戦争が大好きだし、戦闘そのものも好きだ。いつも闘ってきたし、楽しんできた』だ」
すぐ横に座っていたCIA元長官、ジェームズ・ウージリーも一言。
「同感だね」
私はタメ息しかでなかった。今後「シェーン」を観てもラストシーンでは泣かないかもしれない。
(文中敬称略)<
これは メッセージ 1 (messages_admin さん)への返信です.
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