対米全面テロ

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だれが民主主義を創るのか

投稿者: chottomato3 投稿日時: 2003/03/01 22:26 投稿番号: [153189 / 177456]
【伊藤千尋(ロサンゼルス支局)】

  米国のイラク攻撃に反対する抗議が波のように地球を巡った。欧米では各地で数十万人規模の大デモが起きた。東京でもデモはあったが、規模はずっと小さかった。なぜか、という疑問がカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)日本研究センターで話題となった。

  「メディアがいかんのよ」と当地に住む芥川賞作家の米谷ふみ子さんは話す。昨年秋に友人の小田実氏らが提唱したデモを日本のメディアはほとんど無視した。市民の動きを報道しないから輪が広がらないとの見方だ。

  メディアには民主主義を育てる責任がある。その点、市民活動にもっと目を向けて報道すべきだと私自身、思う。日本のメディアは伝統として官庁に記者クラブを置くが、市民の動きを吸い上げる仕組みは弱い。これはメディアとして改善すべき点だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

  一方、無視するだけの理由もあると思う。単発的な出来事はこの世に山とある。それが繰り返されてこそ時代のトレンドとして認識されるし、メディアも取り上げるのだ。

  南米アルゼンチンでは軍部に夫を虐殺された妻らが25年以上も毎週木曜、首都中心部をデモしてきた。たった14人で始めたが今や数百人に膨れあがり世界から注目される。

  とはいえ市民が動きにくいのも事実だ。日本でも60年代末には毎日のように大きなデモがあった。しかし、高度成長とともに市民自身が繁栄を謳歌し抗議のノウハウを忘れた。ここ30年ほど、街でデモを見るのはまれだ。

  有力な対抗勢力だった野党も労組も存在感なく、抗議の声を集める仕組みがない。抗議したくてもどうすればいいかわからない市民が多いのではないか。

    ◇     ◇     ◇     ◇

  だが、民主主義は政府が作ってくれるわけではない。メディアが育ててくれるのを待つものでもない。市民自身が作り上げるしかないのだ。

  韓国の言論人は「私たちは血の犠牲のもとに市民が立ち上がって軍政を覆した。だから自信を持っている。日本人に自信がないのは、市民が政権を覆した経験がないからではないか」と語った。

  ロサンゼルスの平和集会で10万人を前にイラク攻撃反対を訴えた日本のきくちゆみさんは「黙っていれば現状容認と見なされる。小さくても声を上げることからすべてが始まる」と語った。

  民主主義大国の米国でさえテロのあとブッシュ政権に反対すれば非国民扱いされたと、多くの平和活動家が語る。それでも声を上げ小さな集会を繰り返し、市議会に戦争反対決議を上げさせるなど努力した。それがベトナム戦争時代を超える史上最大の反戦デモにつながったのだ。

  民主主義は守るものではない。創るものだ。


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↑以上、タイトル・本文とも、2月27日の朝日新聞「記者は考える」より。
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