アムトラック視点>JMM No.177
投稿者: yoursong319 投稿日時: 2002/08/19 12:29 投稿番号: [146406 / 177456]
このアムトラック、確かに風情はあります。新幹線技術のようなハイテクではないに
しても、広軌の上を強力な機関車で引っ張られた特急車両や寝台車が走る様子は、懐
かしい旅情をそそらせられます。大きな駅には手荷物預かり所があったり、ポーター
のサービスがありますし、駅の構内放送も「○○時発、シカゴ行き寝台特急のご乗車
の準備が整いました。お客様は12番線東ゲートへお進みください。停車駅は・・・」
などと一種の名調子があるのです。
ですが、組合が強いこともあって、余りに保守的な経営が続きました。公社設立後一
度も黒字になったことがないというのですから、どうしようもありません。経営努力
と言ったら、ここニュージャージー州でアムトラックの線路と信号系統を利用した中
距離通勤列車ビジネスが第三セクターで展開されるのに協力するなど、各地での部分
的なものにとどまっています。のんきな「大陸横断」や「フロリダ特急」は今でも赤
字を垂れ流し続けているのです。911直後に誰もが飛行機拒否症にかかった時期に
は、一瞬お客が押し寄せたのですが、本当にそれは一瞬のことでした。
このアムトラック特急、朝晩はここニュージャージーのマーサー郡から、ニューヨー
クへの通勤客を乗せるサービスもしています。朝6時台の特急は、金融関係者と思わ
れる男女で満席になります。この夏、毎日マンハッタンに通う私は、その通勤仲間の
一員に加わっていたのですが、不況と証券市場の低迷を受けて、車内の雰囲気はとて
も暗いのです。ある日、偶々列車がいつもより早く(到着時刻はプラスマイナス10
分くらい変動するのが普通なのです)マンハッタンのペンシルベニア・ステーション
に到着したので、のんびりと鞄の中身を詰め直していた私は、見てはいけないものを
見てしまいました。
終点のニューヨークに着いても、席を立たない客が各車両に数人ずついるのです。た
いていは、カジュアル・ルックの定着に抵抗するように、キチンとネクタイを締めた
40代から50代と思われる男性です。この人たちは、ファイヤー(解雇)されたば
かりなのでしょう。そして、恐らくその事実を家族に打ち明けていないのです。車掌
が巡回してきて「もう終点ですよ」と言われてやっと、おもむろに席を立つ人々はそ
の日一日をどう過ごすのでしょうか。
これは メッセージ 1 (messages_admin さん)への返信です.
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