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小泉政権――国民が離れ始めた

投稿者: chottomato2 投稿日時: 2002/02/02 13:45 投稿番号: [133478 / 177456]
  小泉純一郎首相は田中真紀子前外相の後任に川口順子環境相を充てた。
  首相は人気の高い田中前外相が抜けた内閣の大きな穴を、国連難民高等弁務官を長年務め、「世界の顔」となった緒方貞子氏で埋めようとしたが、失敗した。緒方氏にすれば、国内政治に巻き込まれるようなことは避けたい、ということかもしれない。
  川口氏は環境相として、手腕や識見は大方高く評価されている。しかし、政権全体が軽くなった印象は否めない。

  更迭劇に対する国民の失望感は深い。内閣支持率はかなり下がりそうである。小泉政権は怒りの渦に巻き込まれたようだ。
  元々の高い支持率の背景には、「自民党を解体しても改革を」という現状打破のエネルギーと、政治をプロの手から解放し、国民に近づけることへの期待感があった。
  深刻なデフレ不況の中で多くの国民がいま感じているのは、政治が再び手の届かないところに行ってしまうのではないか、という不安である。

  小泉人気の低下を待ち受けているのが、自民党の族議員らだ。既得権に挑む首相の手法は利権構造を崩す。だからこそ、首相に手綱を付けておきたいのだ。
  首相がそれに従うなら、小泉政権は古い自民党政権に舞い戻る。それでは政権の歴史的な意味は失われ、国民の多くの支持も消えるだろう。族議員にとって、自民党支持率が急落するのは痛しかゆしだが、今年は大きな国政選挙が予定されていない。
  首相が政権に執着するなら、改革の形をとりつつ、実際には利権構造を温存する方向に転じるかもしれない。首相がどの方向に踏み出すか、国民はじっと見ている。

  政治の閉塞(へいそく)状況を生んだ大きな原因は、政府と与党という権力の二重構造にある。
  憲法上、行政権は内閣に属しているにもかかわらず、長年、自民党の実力者らが官僚と組んで政策を仕切ってきた。その下で、族議員がそれぞれ特定の利害の攻防に明け暮れ、将来を見据えた戦略的な議論も政策決定もできなくなった。
  小泉首相が打ち出した政治主導とは、この二重権力構造を解体する試みだった。
  首相のこの問題意識は正しい。しかし、もはや言葉だけでは国民は踊らない。行動が伴わなければ、信頼されない。

  行動のあかしとして、首相はまず外務省改革の断行を宣言し、そのために新外相を官邸あげて支援する態勢を作るべきだ。
  何より、今回の外相更迭の原因となった鈴木宗男衆院議運委員長に対しては、外交関係の部会・特別委員会から一切身を引くように求めるべきだ。
  外務官僚に影響力を持つ鈴木氏の働きかけを放置するようでは、郵政事業や道路公団の民営化など、すべての構造改革が族議員の抵抗で骨抜きになるだろう。

  国民に顔を向けるか、与党の利害に屈するか。首相は重大な岐路に立っている。


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以上、今日のasahi.com「社説」より。
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