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成人の日――「ことづけ」伝えて

投稿者: chottomato2 投稿日時: 2002/01/14 12:42 投稿番号: [130349 / 177456]
  だれかに   あいたくて
  なにかに   あいたくて
  生まれてきた――
  そんな気がするのだけれど
  それが   だれなのか   なになのか
  あえるのは   いつなのか――
  おつかいの   とちゅうで
  迷ってしまった子どもみたい
  とほうに   くれている

  この詩は詩人の工藤直子さんの「あいたくて」の冒頭です。
  「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である」。女子大生だった高野悦子さんは、成人式の日に日記にそう書き残しました。半年後、彼女は列車に身を投じます。33年前のことです。
  死後、刊行された『二十歳の原点』で、20歳の誕生日にこうも記しています。
  「人間の存在価値は完全であることにあるのではなく、不完全でありその不完全さを克服するところにあるのだ」
  おちゃめだが、繊細。でも、「父、母、姉、弟、みんな自分の意志で生きているつもりが、操作されているのではないか」。強い懐疑心の持ち主でした。
  学生運動が吹き荒れたころでした。でも、彼女はその先端にいたわけではありません。運動が行き詰まった結果の死とは、とても思えません。
  高野さんのやいばは、自らへと鋭く向けられました。独りでは生きられない。そう感じて、懸命に「だれか」「なにか」を探そうとしました。日記では、虚無感に途方にくれています。大人への脱皮を焦りすぎたのでしょうか。唐突な死でした。

  今年成人式を迎える若者が生まれたのは、80年代の初め。豊かな消費社会への道が続いていました。でも、豊かさと裏腹の空虚さも漂っている。成長する過程でそんな実感を抱いた人も多いことでしょう。
  昨年の成人式では各地で来賓へのヤジが飛びかいました。ケータイをかけたり、まわりとおしゃべりしたりで夢中。いいかげんにしろ、と嘆かれました。
  でも、著名人を中心とした70人ほどのインタビュー集『二十歳のころ』を読むと、総じて成人となった節目の印象は希薄です。成人になる自覚の乏しさに、かつてと今とで大きな変化があるとは思えません。
  大人と子どもの境が定かではなくなってきました。もはや20歳を強くは意識しない若者たちが大半でしょう。
  でもあなたたちにも、大人であることを嫌でも自覚せざるを得ない時が訪れます。

  冒頭の詩は、こう続けられています。

  それでも   手のなかに
  みえないことづけを
  にぎりしめているような気がするから
  それを手わたさなくちゃ
  だから/あいたくて

  ことづけは放っておいては生まれてきません。心豊かなことづけを、やがてだれかに手渡すことができると良いですね。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html

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以上、今朝の朝日新聞「社説」より。
(HPに載ってるんですね。ラクでした(笑))
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