対米全面テロ

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『裏の歴史』が問い直される

投稿者: chottomato2 投稿日時: 2002/01/11 00:14 投稿番号: [129857 / 177456]
  米国は「9月11日」を境に反テロリズムを軸とした国際秩序の再編に乗り出した。しかし、テロリズムの問題が国際政治の焦点となればなるほど、これまで『裏の歴史』として扱われてきたCIA(米中央情報局)を中心とする米国の非公式活動の諸問題が正面から問われざるを得なくなってきた。こうして例えば、コソボ問題において米国が支援したコソボ解放軍というテロ組織とアルカイダとの「同盟」関係の存在が明らかになるに伴い、米国のユーゴ空爆とは一体何であったかが根底から問い直されようとしている。
  そもそも冷戦後の世界は、湾岸戦争に際して「ボタンの掛け違い」を引き起こしたのであろう。イラクのクウェート侵攻については、アラブの危険な独裁者に膨大な兵器を供与するという致命的な誤りを犯し、紛争を誘発させた米国など諸大国の責任がきびしく問われるべきであった。ところが、「侵略を許すのか」というイスラエルには適用されない「普遍的」なスローガンのもとで、イラクの軍事大国化に何の責任もない国々にも「血を流す覚悟」が求められ、金しか出せなかった日本が揶揄されるという倒錯した論理がまかり通ることになった。

  謀略がテロの温床に

  米国がフセイン政権の軍事強化に狂奔したのは、79年まで4半世紀にわたって米国の中近東最大の拠点であったイランのパーレビ独裁体制を崩壊させたホメイニ革命への対抗策だった。この対抗策は隣国アフガニスタンではさらに謀略的な様相を呈し、ホメイニ革命から5カ月後にはCIAが同国に潜入してソ連を挑発すべくテロ活動を組織し、結果としてソ連は見事に「わなにはまる」こととなった。かくして米国の「失われた拠点」イランの東と西の隣国が世界の火薬庫と化し、卑劣なテロリズムの温床が生み出されていった。
  問題は、冷戦期には反ソ・反共で「正当化」され得た謀略的な対抗策が冷戦後にも引き継がれ、それが新たな危機を醸成していることである。米国内での炭疸菌事件はそれを象徴している。米国は生物兵器禁止条約を実効化させる査察体制確立にむけての多国間交渉を、自国への査察を阻止するために葬り去り野放し状態を生み出す一方で、国内ではCIAや軍部がテロへの「防衛」を名目に秘密裏に炭疸菌を培養した「模擬生物兵器」の製造工場を運転してきたのである。今回の事件の犯人像がCIAや軍部の周辺に絞りこまれつつある現状は、条約違反もいとわぬ謀略的対抗策と単独行動主義の結合が、ついには米国の中枢からビンラディンにも劣らぬ恐るべきテロを発生させるという皮肉きわまりない構図を示唆している。

  軍事偏重から協調へ

  同時多発テロの悲劇が、冷静さを取り戻した米国市民において自国の軍事外交政策のあり方を問い直す契機となることを期待したい。米国の掲げる自由と正義の政治理念が、テロを再生産させる謀略的で軍事偏重的な手段ではなく、建設的で多国協調的なリーダーシップをもって実現が目指されるか否かは、米国世論と同盟国の対応によっている。その成否はまた、世界の国内総生産(GDP)の0.5%にも満たない「ならず者国家」の脅威を口実に、天文学的な巨費を投じて「宇宙の軍事化」につきすすむ『世紀の愚行』の行方をも左右するのである。


豊下楢彦   <関西学院大学教授(国際政治論)>

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以上、1月8日付朝日朝刊「私の視点『特集・アフガン空爆その後』」より無断転載。



↓(オフトピひとりごと)
え・・・・っと、
わたしの「感覚」とは、ちがう部分多いけど・・・・です。(せっかく入力したし)
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