対米全面テロ

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無敵軍に「非対称の脅威」

投稿者: chottomato2 投稿日時: 2002/01/08 22:08 投稿番号: [129558 / 177456]
  アフガニスタンで、約4千人のアメリカ軍兵士が年を越した。
  去年11月。地上軍がアフガンに投入され始めたころ、国防総省が1枚の写真を公表した。北部同盟とともに山岳地帯を馬で移動する特殊部隊の姿が写っていた。
  ニューヨーク・タイムズは「南北戦争とスターウォーズの融合」と報じた。19世紀の光景と21世紀の技術の融合、という意味合いだった。

  特殊部隊が持ち歩くのは、レーザー双眼鏡と小型パソコン、そして暗視装置。馬とともに歩む渓谷から、衛星通信で爆撃機にタリバーンの拠点を伝える。爆撃機は、衛星からの信号で自ら位置を修正して落下する全地球測位システム(GPS)誘導爆弾を降らせる。
  米軍は宇宙にもう一つの基地を作り、「情報」を武器に変えた。
  10センチの物体を識別する偵察衛星が地表をにらむ。音や振動、熱まで感知する無数の超小型センサーが地上にばらまかれ、敵の部隊を追った。
  「湾岸戦争はすでに古代史になった」
  10年前、初めて人工衛星が使われた戦争との比較を、ワシントンにある戦略国際問題研究所(CSIS)の上級研究員アンソニー・コーズマンは、こう表現する。

  先端技術は「戦場」も作り出す。
  スクリーンに映った市街地。人影が300メートルほどに近づいたところで、旧ソ連製の武器を持つタリバーン部隊だと気がついた。米兵は小銃を構え、散開した相手との交戦が始まった ---- 。
  昨秋、米国であった軍事シミュレーター展示会で、米陸軍は精巧な訓練機材を紹介した。衛星で地形や気象のデータを集め、敵の武器性能や行動パターンまで織り込んで、現実そっくりの「戦場」を再現できる。
  「この装置のすばらしさは、死体袋に詰め込まれずに、何度でも戦場で失敗できることだ」
  アフガンの地上軍も、この装置で徹底した訓練を受けて派遣された。

  アメリカの軍事技術はこの10年間で飛躍的に進んだ。情報技術(IT)や先端技術によって戦争の性格を変える「軍事革命(RMA)」が、戦略の基本になりつつある。
  アフガンは、その超ハイテク戦の実験場となった。米軍は一気にタリバーンを壊滅させ、「もうアメリカと通常戦を戦える国はない」と世界の軍事関係者を驚嘆させた。
  だが、米国の不安が消えたわけではない。戦力差が開けば開くほど、勝ち目のない勢力は非対称な手段を選ぶ。
  「超限戦」
  中国の空軍大佐2人の共著がいま、軍事関係者の間で話題だ。強力なハイテク軍に対抗できるのは、ハイテクを逆手にとって仕掛ける非正規戦だとして、テロなど25の手法をあげている。
  同時テロから3週間後、ブッシュ政権が初めて出した「4年ごとの国防計画見直し(QDR)」は、「非対称の脅威」への対応に重点が置かれていた。それまでは低かった優先順位が、ミサイル防衛(MD)と並んで最優先に躍り出た。

  テロ後、「非対称」への恐怖は米国人の日常生活に組み込まれた。
  「これは複雑な戦いだ。勝利を告げるのは(調印式のような)儀式ではなく、安全(を得た)という感覚だ」
  アフガン攻撃を前にラムズフェルド米国防長官は、対テロ作戦を、そのように説明した。
  「非対称紛争」という言葉を30年近く前に使った日本人がいる。国際政治学者の永井陽之介(77)だ。ベトナム戦争をそう表現し、米軍の敗因を分析した。
  アフガンでの勝敗は決した。だが永井は「勝負はこれから」と見る。「テロ組織との戦いは持久戦に入った。圧倒的な軍事力に守られた米国は、永久に非対称の脅威にさらされ続ける」
  「見えない戦争」の本当の始まりだ。


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以上、今朝の朝日新聞「アメリカアメリカ(シリーズ第7回)」より。
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