イスラエル/パレスチナ和平

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二題まとめて

投稿者: abutouma 投稿日時: 2004/11/03 07:30 投稿番号: [8313 / 20008]
記事と書評、ふたつあわせて貼り付けます。


アラファト不在で対イスラエル攻撃激化?(11月2日)

  2001年10月のゼエビ観光相暗殺以来、派手な対イスラエル行動を起こしてこなかったPFLPが、アラファトがラーマッラーを去ってわずか数日後の1日、カルメル市場爆破を敢行したのは何故か?

  2日のハ・アレツ紙電子版に掲載された、パレスチナ報道のベテラン記者ダニー・ルビンシュタイン(著作にアラファトの伝記あり)の記事は、なかなか面白い。
  ルビンシュタインは東エルサレムのジャーナリストの言葉を引用して、
「1日の自爆テロは、インティファーダ武装化に反対するアブ・マーゼンの穏健指導部に対するメッセージである」
とする。さらに、占領地におけるトップ2名(アハマド・サアダートとアブドル・ラヒーム・マルワハ)がそれぞれエリコとメギドの刑務所に収容されたままのPFLPが、PFLP代表不在のままPLO執行委員会を開催、今後の政策を決めようとするPLO暫定執行部に対して異議を申し立てるため、作戦を実行(して指導部を苦しい立場に追い込んだ)した可能性を指摘する。

  革命運動や解放運動では、内部の主導権争いが無謀な対外行動につながることが往々にして起きる。
  もし今回もそうだったとすれば、わずか16歳(当初18歳と報道されたが、その後の母親の証言では1988年生まれだったらしい)で「天国入り」を信じて死んでいった実行犯や、テロの被害者たち、それに即座に家を取り壊され路頭に迷うことになった実行犯の家族は、みんなPLO内部の権力闘争の犠牲になったということだ。

レバノンをめぐる戦い(タビサ・ペトラン著、英語)

  著者ペトランは、メキシコ生まれ、ガーディアン紙等の特派員として中近東を中心に、世界各地で働いた。特にシリアとレバノンには1962年から1986年まで滞在したという。
 
  オスマン時代から内戦真っ只中の1986年までをカバーする、実に430ページの大著。1987年の著作ながら、巻末にはエドワード・サイードやノーム・チョムスキーが推薦文を寄せており、9.11事件以降の著作かと見まがう。

  この2名が推薦しているからには、相当偏向した内容だろうとは思ったが、それにしても参った。
  内戦の記述の中で、左派「レバノン国民運動(LNM、カマール・ジュンブラートPSP党首が率いた)」やPLOのことを、「進歩勢力」、それと敵対するマロン派政治勢力および民兵は、なんと「ファシスト勢力」、こんな表現が頻発するのだ。
  紛争当事者ならともかく、研究者や報道に携わる第三者が、こんな一方的な用語を使うようでは、客観的な視点を保てるわけがない。
 
  案の定、レバノン内戦の引き金をひいた1975年4月13日のアイン・ルンマーネ事件についても、こんな風に記述されていた。
「サブラ難民キャンプで開かれた集会に参加したパレスチナ人とレバノン人家族たちを乗せたバスが、テル・アッザアタル・キャンプに戻る途中、アイン・ルンマーネ地区で、周到に準備された待ち伏せ攻撃を受け、女性や子供、老人も含めた30人以上が殺害された」

  普通、どんなにパレスチナびいきの人でも、アイン・ルンマーネ事件について書くときは、この日、これより数時間前に起きた事件のことに言及するものだ。
  数時間前、アイン・ルンマーネの新しい教会の落成式典に出席したカターイブの党首、ピエール・ジュマイエルを狙った暗殺未遂事件が起きていたのである。通りがかりの車両からジュマイエルを狙ったのが誰かははっきりしない。しかし、当時カターイブなどキリスト教徒民兵とパレスチナ・ゲリラの小競り合いは頻発していたから、カターイブ側は暗殺未遂はパレスチナ・ゲリラの犯行に違いないと確信、パレスチナ・ゲリラの車両がアイン・ルンマーネに入って来るのを待ち構えて報復したのである。
  紙数に制限があってどうしても省略せざるを得なかったならともかく、400ページを超える大著で、ほんの数行の記述で済む暗殺未遂事件を省略するというのは、理解できない。パレスチナ側に不都合な内容は書かないという意図があるとしか思えない。

  何にせよ、中立でバランスのとれた歴史叙述とは何かということを考えさせてくれる点で、反面教師的な著作と言える。
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