bebson様 -- 爺の剣(8)
投稿者: k_g_y_7_234 投稿日時: 2006/11/30 23:02 投稿番号: [7962 / 73791]
正眼に構えた爺からは、高段者との試合で感じるような鋭い気が、一瞬でしたが飛んできました。私は、遠間から一足一刀の間合いに詰めようとしましたが、詰められません。わずかに剣先が触れ合う間合いで爺の様子をうかがいました。機を見てすっと入って見ましたが、「あっ!」と思って一足飛びに後退しました。今度は、鋭く払ってみましたが、打ち込めません。爺の心の動きが見えないのです。昨夜の爺の反応から、この間合いから打ち込むのは自殺行為に思えました。普段の試合なら、必ず相手は、すなわち爺は打ってきます。打ってくれば必ずそこにスキが見えます。爺は、正眼に構えたまま微動だにしません。
私は、爺の演武のような足さばきで、斜め左右前方にわずかに移動して見ました。すると爺の剣先が私の中心を追いかけるようにかすかに左右に動きます。いわゆる心の起こり、動作の起こりです。
私は、左足を斜め左前方にすうっと出して見ました。その時です、爺の剣先が私の中心に合わせてすっと動こうとする気配を感じ、右足で小さく突っ込みながら爺の竹刀の中程を鋭く右に払い上げ右小手に行きました。爺は鍔もとでしのぎましたが、私はかまわずそのまま突き、爺がわずかにのけぞったところを一気に面に行きました。でも、爺はその瞬間体を開いてかわしておりました。私の打ちは、爺の面がねをかすっただけでした。私は、勢いのあまり道場の羽目板にいやというほど激突してしまいました。爺はと見ると、右手に竹刀をダラリと下げて私を見ています。
「ほう」
爺がそうつぶやいたように聞こえました。
しかし、同じ手は二度と通用しませんでした。「強い」と思いました。そんなとき、爺が初めて面を打ってきました。まるでスローモーションでも見ているかのような面でしたが、私は金縛りあったように身動きが取れません。やっとのことで竹刀で受けましたが、反撃はできませんでした。
もう10分は、経っていたと思います。爺の心に一瞬の迷いが見えたような気がいたしましたので、間髪を入れずに爺の面に飛び込みました。私は、喉に激痛が走り、道場の床にいやというほど後頭部を強打し、呼吸が出来なくなりました。
○僧4
これは メッセージ 7959 (k_g_y_7_234 さん)への返信です.
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