ユギオII - その92
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/05/29 20:54 投稿番号: [56260 / 73791]
投稿者:拓
<その92>
「何? 連絡がとれない? 二人ともか?」
胡が怪訝な顔で秘書官に言った。
「ええ、地方視察に出ているとのことです..」
胡は、温と顔を見合わせた。そしてやや思案してから、
「○○政治局員を呼んでくれないかね? 至急だ!」
秘書官が部屋を出ようとしたとき、それまで黙っていた海江田が口を開いた。
「すみませんが、少々お待ちくださいませんか?」
「ん?」
胡と温は、海江田を見た。
「今回の我々の訪問は、胡主席閣下と温首相閣下にこのような事態が進行していることを取り急ぎ、それも内々にお知らせにきたまでです。我々は、中国の偉大な指導者であられるお二人がこの事態に関与されていないことを知り、深く神に感謝しなければならないでしょう。お二人が今までご存じなかったということは、何らかの勢力が極秘裏に、それも用意周到に計画しているものと推察されます。このように大胆な計画が北朝鮮一国だけで、それも金正日将軍が意識不明の状態で決定できるとは到底考えにくいことです。いずれにせよ、北朝鮮の親中派が動いております。その黒幕が誰であるのか、究極の目的が何であるのか、まず慎重に突き止めることが肝要かと考えております..」
「うむ..」
胡がうなずいた。
「今回の我々の訪問は、あくまでも非公式です。公式には、明日我が国から日中友好議員団が閣下を表敬訪問いたします。議員団には、自民党の元老である大森先生と民生党党首の岡島議員が加わっております。彼らは日本政府の代表として、閣下に武原親書と日本政府の意向をお伝えするはずです。ぜひとも閣下と今回事態に対する対応を協議させてくださいますれば誠に幸甚でございます..。それから韓国からも李大統領の兄上もお見えに..」
そのとき、またドアにノック音がし、先程三枝たちをゲートで出迎えたもう一人の秘書官が入ってきて、温首相に耳打ちした。温が胡に小声で二言三言話すと、胡は時計を見た。そして空を仰いだ。
「まことにすまぬが、某国の元首と会う時間になっていた。あなた方の訪問は予定外のことであるから、そこのところをご理解いただきたい。明日は十分時間をとってありますから、もっとよくお話できましょう。ところで、あなた方には明日もお会いできますかな?」
「いえ、我々は明朝一番のフライトで戻らなければなりません。事情が事情ですから..」
「うむ..、そうですか..? お互い身体が二つ欲しいところですな..」
胡は残念そうに笑った。そして、海江田と三枝に握手した後、カンにも笑顔で握手を求めた。
「キゴさん、あなたの皇帝陛下によろしくお伝えください。ぜひ近いうちにお目にかかりたいと申し上げてください..」
「ありがとうございます。必ずお伝えいたします..」
しかし、胡とカンの視線の間に笑みはなかった。
三枝たちが部屋を出ると、廊下の向こうから恰幅のよい初老のスーツ姿の男と二人の軍服の将官が急ぎ足で近づいてきた。
三枝には、初老の男が党政治局の大物であり、軍服の男の内、年配の男は調査室でも把握している上級大将であったが、もう一人は知らなかった。階級章から見て、どうやら少将のようである。痩せぎすで青白、細く鋭い視線の男であった。男たちは立ち止まると、三枝の数歩前を歩く胡と温に挨拶した。胡が腕時計を見ながら男たちに一言二言言うと、男たちは胡と並んで話しながら歩き始めた。ふいに少将の男が振り返り、三枝たちを怪訝そうに見たが、三枝が目を合わせたとき、この男から不思議な殺気を感じた。それは一瞬のことであったが..
<その92>
「何? 連絡がとれない? 二人ともか?」
胡が怪訝な顔で秘書官に言った。
「ええ、地方視察に出ているとのことです..」
胡は、温と顔を見合わせた。そしてやや思案してから、
「○○政治局員を呼んでくれないかね? 至急だ!」
秘書官が部屋を出ようとしたとき、それまで黙っていた海江田が口を開いた。
「すみませんが、少々お待ちくださいませんか?」
「ん?」
胡と温は、海江田を見た。
「今回の我々の訪問は、胡主席閣下と温首相閣下にこのような事態が進行していることを取り急ぎ、それも内々にお知らせにきたまでです。我々は、中国の偉大な指導者であられるお二人がこの事態に関与されていないことを知り、深く神に感謝しなければならないでしょう。お二人が今までご存じなかったということは、何らかの勢力が極秘裏に、それも用意周到に計画しているものと推察されます。このように大胆な計画が北朝鮮一国だけで、それも金正日将軍が意識不明の状態で決定できるとは到底考えにくいことです。いずれにせよ、北朝鮮の親中派が動いております。その黒幕が誰であるのか、究極の目的が何であるのか、まず慎重に突き止めることが肝要かと考えております..」
「うむ..」
胡がうなずいた。
「今回の我々の訪問は、あくまでも非公式です。公式には、明日我が国から日中友好議員団が閣下を表敬訪問いたします。議員団には、自民党の元老である大森先生と民生党党首の岡島議員が加わっております。彼らは日本政府の代表として、閣下に武原親書と日本政府の意向をお伝えするはずです。ぜひとも閣下と今回事態に対する対応を協議させてくださいますれば誠に幸甚でございます..。それから韓国からも李大統領の兄上もお見えに..」
そのとき、またドアにノック音がし、先程三枝たちをゲートで出迎えたもう一人の秘書官が入ってきて、温首相に耳打ちした。温が胡に小声で二言三言話すと、胡は時計を見た。そして空を仰いだ。
「まことにすまぬが、某国の元首と会う時間になっていた。あなた方の訪問は予定外のことであるから、そこのところをご理解いただきたい。明日は十分時間をとってありますから、もっとよくお話できましょう。ところで、あなた方には明日もお会いできますかな?」
「いえ、我々は明朝一番のフライトで戻らなければなりません。事情が事情ですから..」
「うむ..、そうですか..? お互い身体が二つ欲しいところですな..」
胡は残念そうに笑った。そして、海江田と三枝に握手した後、カンにも笑顔で握手を求めた。
「キゴさん、あなたの皇帝陛下によろしくお伝えください。ぜひ近いうちにお目にかかりたいと申し上げてください..」
「ありがとうございます。必ずお伝えいたします..」
しかし、胡とカンの視線の間に笑みはなかった。
三枝たちが部屋を出ると、廊下の向こうから恰幅のよい初老のスーツ姿の男と二人の軍服の将官が急ぎ足で近づいてきた。
三枝には、初老の男が党政治局の大物であり、軍服の男の内、年配の男は調査室でも把握している上級大将であったが、もう一人は知らなかった。階級章から見て、どうやら少将のようである。痩せぎすで青白、細く鋭い視線の男であった。男たちは立ち止まると、三枝の数歩前を歩く胡と温に挨拶した。胡が腕時計を見ながら男たちに一言二言言うと、男たちは胡と並んで話しながら歩き始めた。ふいに少将の男が振り返り、三枝たちを怪訝そうに見たが、三枝が目を合わせたとき、この男から不思議な殺気を感じた。それは一瞬のことであったが..
これは メッセージ 1 (may7idaho さん)への返信です.