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ユギオII - その73

投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/05/22 22:51 投稿番号: [56027 / 73791]
投稿者:拓

<その73>

同日夕方、東京、検察庁舎前

北村弁護士が検察庁舎から出てくると、「不当逮捕反対!」、「即時釈放せよ!」、「日帝公安の犬!」などといったノボリや横断幕を掲げた数十人の男女に取り囲まれた。彼らの半数は、北村にはすでに顔見知りであった。北村の事務所前からこちらに移動してきていたのである。

一団の中の学者風の男が、
「北村さん、カン同志に会えましたか?」
「ああ、会ってきた。君は?」
北村は、以前からこの男、総連の弁護士であるこの男の顔は知っていたが、あえて聞いてみた。
「金井と申します。総連の顧問弁護士をやっています」
「それで、私にこのようなノボリまで立てて何か用かな?」
金井は苦笑したが、
「カン同志はどうでしたか?   お元気でしたか?」
「ん?   元気だよ。かえってピンピンしている。かっての闘争本能に火がついたみたいにな、あはははは..」
金井は、ホッとしたようである。
「北村さん、カン同志は何故我々にではなく、あえて公安出身の貴方に弁護を任せたんですかね?」
金井は単刀直入に聞いてきた。北村は少し考える素振りで、
「私にも意外なこと..。私も一時期総連の捜査を担当していたが、あの爺さんのシッポはつかめなかった。疑いはあっても、証拠がなかったからな。その辺の事情ではないかな?」
「その辺の事情ですか?」
「うむ、今回は別件逮捕のようだ。とりあえず証拠があがった公文書偽造と同行使で逮捕し、じっくり取り調べようということらしい..」
「それで何故わざわざ貴方を..」
金井の周りの男たちが殺気立っているのを北村は感じた。
「私が担当した、いや、私が知っている事件では、彼に関する証拠は一切上がらなかった。だから、検察とやり合うには私の方が好都合と考えてもおかしくないが、う〜ん…?」
北村は、また考える素振りをした。
「そうでしょうかね?」
金井も考えている。
「あの爺さん、だいたい君たちの腕を信用してないんじゃないかな?   へたすると、かえって検察の罠にでも嵌ってあらぬ過去がバレるのではと思ってるのじゃないかな?   あはははは..」
金井はムッとした。

「公安の犬、引っ込め!」
「そうだ、そうだ!」
男たちが騒いだ。

金井が男たちを制止して、北村に何か言いかけようとしたとき、北村の携帯が鳴った。北村は、携帯を取り出すと、かけてきた相手の電話番号を確かめながら首をかしげた。
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