ユギオII - その23
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/05/07 19:32 投稿番号: [55256 / 73791]
投稿者:チー
<その23>
「先生、私を逮捕拘留していただきたい!」
「ん、逮捕だと?」
かってカンの検挙に血眼になっていた榊原老人とり、なんとも皮肉なカンの申し出であった。
「お主を逮捕してどうする?」
カンは、一瞬ためらったが、
「私が北の同胞とどんな連絡をとっているのか、北の同胞からどんな連絡が入るのか、実際に貴方様の目でお確かめいただくしかありません。北の同胞がどう動くか見ていただきたい。私の身辺も昨夜からキナ臭くなっていますから、この際逮捕していただくのが一番よいと考えております..」
榊原は、そう言うカンをじっと見ながら思案した。
「私の逮捕は、それとなく発表していただきたい..」
「発表するのか?」
「ええ、ぜひとも。その方がいいのです。それと、実はもう一人逮捕していただきたい人物がおります..」
「ん?」
「実は、私の右腕であり、私に代わり北の同胞と連絡を取っている者です。彼の存在は、まだ誰にも気付かれていません。ですから彼の場合は、私とは違い、絶対に外部に漏れないよう極秘に逮捕していただきたいのです。また、彼の物は一切残らず押収していただきたい。彼が何者なのか、その痕跡を完全に抹消していただきたい。そして、常に私のそばに置いていただきたいのです..」
榊原はじっと考え込んだままであったが、ふいに
「して、お主の逮捕理由は?」
と尋ねた。すると、カンは背後の女に目配せした。女は、ふところから何かを取り出すと榊原に渡した。皮の手帳であった。手帳には、小さな文字がぎっしりと記されていた。そして手帳のポケットには、外国人登録証、保険証、免許証、パスポート、クレジットカードなど、カンの身分を証明するものが十数点入っていた。ところが、カンの顔写真付き証明書には名義の異なるものがいくつかあった。明らかな公文書偽造である。
その日の夕方、カンは自宅に戻るところを逮捕された。彼の逮捕には、ひと悶着があった。どこからともなく、在日朝鮮人と思われる男たち数名がカンのそばに駆け寄り、逮捕を妨害しようとしたのである。
もう一人の男は極秘裏に逮捕され、持物すべてが押収された。これには、通信機材とともに暗号文と過去の通信記録が含まれていた。
逮捕されたカンは、警視庁に連行されたが、その夜の内に極秘に別の場所へと移送された。
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