「ソウル」 - 8
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/02/17 18:49 投稿番号: [49864 / 73791]
投稿者:直子
「ソウル」 - 8
「お嬢さんは、高校生かな?」
「え?
はい、三年です。弟は一年生..」
ヒョギョンは不意を突かれたように儂を見るとそう答えた。母子のモメごとは、中断した。
「すみません、主人のとても大切なお客様に、子供たちがいろいろと..。この子たち、仲がよいのか、悪いのか..。いつもこうなんですよ」
キムの女房は英語でそう言うと、申し訳なさそうな顔をした。なんと、見事に自然な英語である。
「ほう、とても英語がお上手ですな..」
「家内は、アメリカにしばらく留学していたのです。私の英語の先生ですよ。だから、家内には頭があがらないんです」
今度は、キムも英語で話し始めた。キムの女房は、そういうキムを小突いた。
「息子さんも英語を話すのかな?」
儂は、後部座席で姉の向こう側、母親のすぐ後の息子に視線を向けたが、当の息子は儂の視線を避けるように黙りこくっている。母親が何か言いなさいとでも言うように、息子の膝を小突いた。やがて当の息子は、しかたがないと言った風に口をもぐもぐさせはじめると、
「マイネーム
イズ
キム・ヒョク...、アイ
アム
ア
スチューデント、ハイスクールスチューデント...」
まるで初歩の英語の教科書を棒読みしているようであったが、それでも考え考え自己紹介をはじめた。
「そうか、ヒョクというのか、儂は日本のハラボジだそうな。よろしくな」
息子は、あいかわらずむっつりしたままである。
「ところで、ハラボジとは英語で何ていうのかな?」
先程、ハラボジでもめていたようであるから、息子にわざと聞いてみた。息子は考え込んでいたが、なかなか返事がない。すると、母親が助け船を出した。
「普通は祖父のことを言いますが、お年寄りの男性一般に対しても敬意を込めてそう呼びます。貴方様の場合は、親愛なる日本のおじいさま、という意味です。女性の場合は、ハラモニです」
「そうか、ならば私は日本のハラボジか..。あっははは..」
息子は苦笑しておったが、姉のヒョギョンはうれしそうであった。
「ハラボジは、韓国語をご存じですか?」
ヒョギョンが聞いてきた。
「そうだな、ケンチャナヨ、アイゴー、チョワヨー、カスマプゲ...」
儂がそこまで言うと、ヒョギョンはおかいしいと言って笑い出した。息子もはじめて笑った。キムまでミラー越しに笑っておる。
「ん、おかしいか?」
「ええ、とっても。ハラボジが言うととっても可笑しい。チョワヨーとカスマプゲの意味をご存じですか?」
ヒョギョンの笑いは、どうにも止まらないようである。
車内の雰囲気は、一気に明るくなった。(爺)
これは メッセージ 1 (may7idaho さん)への返信です.
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