「ソウル」 - 2
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/02/14 23:41 投稿番号: [49479 / 73791]
「ソウル」 - 2
そんなことで、アシアナ航空であったか、大韓航空であったか、ちと忘れたが、とにかく機上の人となった。韓国は、意外に近い。まるで九州か北海道へでも行くかのように近い。二時間足らずで仁川国際空港に着いた。機上で儂がいたN社の社員から説明を受けたが、キムの会社はその後大躍進を遂げ、N社より何倍も大きくなったという。
入管を抜けたところで、一人の中年男が顔をクシャクシャにして儂に近寄ってきた。想い出すのに多少時間はかかったが、この男にはあの若者であったキム某の面影が確かに感じられた。男は、儂の手を両手で固く握りしめると、「お待ちしておりました。よく来て下さいました」とたどたどしい日本語で何度も言っては、その都度頭を垂れた。そして彼は、40前後の女房と高校生ぐらいの彼の娘・息子を儂に紹介した。空港に妻子まで連れてきていたのである。
キムの周りには、他にも七、八人の男女がいて、社員であると紹介した。一緒に来たN社の社員は、このままキムの会社の工場がある町へ直行するという。儂には別にソウル市内にホテルを用意してあると言った。キムの案内のままに空港出口へ向かったが、儂のわずかばかりの手荷物とスーツケースは、キムの女房と娘が運んでくれた。何人も来ている社員を使えばとも思ったが、ま、キムの個人的な招待であるらしいから、ほっておいた。
空港の外に出ると、白塗りのありきたりの乗用車が止まっていた。中から黒スーツの男が出てきたが、キムに鍵を渡すと他の社員ともどもあたりを見回しながらまるで儂たちをガードするような素振りで整列した。どうやらキムが自ら運転するようである。車には儂の他にキムの妻子が同乗した。キムはしきりにハングルで妻子と話してから、またたどたどしい日本語で「お元気でなによりです。私は、私の妻と子供に、あらためて日本のハラボジである貴方様を紹介したのです」と言った。キムの女房と娘は丁寧に何やらハングルで挨拶したが、息子はソッポを向いておった。
近代的な、半弧を描いた空港を出ると幅広い近代的な高速道路が続いていた。少し前まで雨が降っていたらしく、車は雨に濡れた夕刻の高速道路をソウルへと向かった。まもなく後部座席の儂のすぐ隣の娘が話しかけてきた。ヒョギョンと言ったが、何と英語である。「日本のハラボジにやっとお会いできてとてもうれしいです。父がいつも申しておりましたから..」
「儂は、日本のハラボジか?」
「ええ、ハラボジです」
そう言うなり、彼女ははにかんだ。
その時、それまで無口であった息子が、ハングルで彼女に文句らしきことを言い始めた。文句というものは、たとえ言葉がわからなくとも、それとなく分かるものである。キムの女房はしきりに息子をなだめるような口調でハングルで何か言っていたが、儂と目があってはしきりにすまなさそうな顔をする。運転しておるキムは、運転席のミラー越しに苦笑していたが、「先生、後でご説明します。何、大したことではないです。息子の誤解ですから...」
どうも韓国人は、儂をわざわざ空港まで出迎えながら、それも大きな会社のCEOの家族でありながら、客人の前でも内輪でモメるらしい。だが、彼の叱咤で当の息子は黙りこくってしまった。
爺
では御免。
直子:そんなに掲載しませんから、たぶんこのように短いお話で17話ぐらい。では、また明日ね。お休みなさいまし..^^
そんなことで、アシアナ航空であったか、大韓航空であったか、ちと忘れたが、とにかく機上の人となった。韓国は、意外に近い。まるで九州か北海道へでも行くかのように近い。二時間足らずで仁川国際空港に着いた。機上で儂がいたN社の社員から説明を受けたが、キムの会社はその後大躍進を遂げ、N社より何倍も大きくなったという。
入管を抜けたところで、一人の中年男が顔をクシャクシャにして儂に近寄ってきた。想い出すのに多少時間はかかったが、この男にはあの若者であったキム某の面影が確かに感じられた。男は、儂の手を両手で固く握りしめると、「お待ちしておりました。よく来て下さいました」とたどたどしい日本語で何度も言っては、その都度頭を垂れた。そして彼は、40前後の女房と高校生ぐらいの彼の娘・息子を儂に紹介した。空港に妻子まで連れてきていたのである。
キムの周りには、他にも七、八人の男女がいて、社員であると紹介した。一緒に来たN社の社員は、このままキムの会社の工場がある町へ直行するという。儂には別にソウル市内にホテルを用意してあると言った。キムの案内のままに空港出口へ向かったが、儂のわずかばかりの手荷物とスーツケースは、キムの女房と娘が運んでくれた。何人も来ている社員を使えばとも思ったが、ま、キムの個人的な招待であるらしいから、ほっておいた。
空港の外に出ると、白塗りのありきたりの乗用車が止まっていた。中から黒スーツの男が出てきたが、キムに鍵を渡すと他の社員ともどもあたりを見回しながらまるで儂たちをガードするような素振りで整列した。どうやらキムが自ら運転するようである。車には儂の他にキムの妻子が同乗した。キムはしきりにハングルで妻子と話してから、またたどたどしい日本語で「お元気でなによりです。私は、私の妻と子供に、あらためて日本のハラボジである貴方様を紹介したのです」と言った。キムの女房と娘は丁寧に何やらハングルで挨拶したが、息子はソッポを向いておった。
近代的な、半弧を描いた空港を出ると幅広い近代的な高速道路が続いていた。少し前まで雨が降っていたらしく、車は雨に濡れた夕刻の高速道路をソウルへと向かった。まもなく後部座席の儂のすぐ隣の娘が話しかけてきた。ヒョギョンと言ったが、何と英語である。「日本のハラボジにやっとお会いできてとてもうれしいです。父がいつも申しておりましたから..」
「儂は、日本のハラボジか?」
「ええ、ハラボジです」
そう言うなり、彼女ははにかんだ。
その時、それまで無口であった息子が、ハングルで彼女に文句らしきことを言い始めた。文句というものは、たとえ言葉がわからなくとも、それとなく分かるものである。キムの女房はしきりに息子をなだめるような口調でハングルで何か言っていたが、儂と目があってはしきりにすまなさそうな顔をする。運転しておるキムは、運転席のミラー越しに苦笑していたが、「先生、後でご説明します。何、大したことではないです。息子の誤解ですから...」
どうも韓国人は、儂をわざわざ空港まで出迎えながら、それも大きな会社のCEOの家族でありながら、客人の前でも内輪でモメるらしい。だが、彼の叱咤で当の息子は黙りこくってしまった。
爺
では御免。
直子:そんなに掲載しませんから、たぶんこのように短いお話で17話ぐらい。では、また明日ね。お休みなさいまし..^^
これは メッセージ 1 (may7idaho さん)への返信です.