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ロシアの旅」(12) アコーデオン弾きの老女

投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/02/08 21:55 投稿番号: [48965 / 73791]
「ロシアの旅」(12)   アコーデオン弾きの老女

彼の手招きで、くすんだ赤煉瓦の建物の間を抜けると、日差しのあたるやや大きな通りに出ました。まばらでしたが人通りもあり、車もときおり走っています。私がまわりをキョロキョロ見ながら歩いていたせいか、もう彼はかなり前を歩いています。

やがて遅れている私に気付いたのか、立ち止まって「早く」とでも言わんばかりに手招きしています。私が急いで走り寄ると、彼はうってかわったようにうれしそうな笑顔を見せました。私は、またキョロキョロと建物を見ながら歩きはじめましたが、ふいに彼は私の腕をつかみ、自分の背後に隠すように引っ張ります。見ると3人の若い男たちがこちらへ歩いてくるところでした。歩き方もなんとなくだらしなく、目つきも悪そうです。男たちの内、ボス格らしい大柄の男が近づいてきて、私をなめまわすように見ると、彼に何やら話しかけてきました。彼もしかたなさそうに男と二言三言話しています。やがて男は、ニヤニヤした顔でまた私をひととおりながめまわしてから、仲間たちと通り過ぎていきました。

「お知り合い?」
私がそう聞くと、
「ああ、親友ではないけどね」
彼はニガ笑いを浮かべています。
「仕事がないんだよ。だからああやってぶらぶらしてるのさ」
「ふ〜ん」
「あんまりかかわりたくない連中さ」
私は、男たちをもう一度見ようと後を振り向くと、
「だめだよ、見ない方がいい」
彼に止められました。

「もうすぐさ、ほれあそこ」
彼が指差す路上には小さな人だかりが見えました。そこだけ建物がありません。近づくと空き地のようでした。どうやら大きな建物跡のようです。むき出しの地面には粗末なバラック造りのお店が奥の方に向かって並んでいて、結構な人だかりです。「この街には人がいないのかしら」と思っていましたから、おもわずホッとしました。ジーンズやミニスカートをまとった若い男女がほとんどで、お店をのぞきながらあれこれ物色しているカップルや仲間同士なのでしょうか、立ち話しをしているグループもいます。まるで東京の原宿の裏通りのような雰囲気です。

空き地の隅では、小さな木の箱に腰掛けながらアコーデオンを弾いているおばあさんもいます。小太りのおばあさんで頭にスカーフを巻き、ところどころすり切れている衣服をまとっています。古びたアコーデオンでロシア民謡でしょうか、聞き覚えのある物悲しい曲を無心に弾いています。足もとの新聞紙には、不揃いな形のトマトが十個ばかりのっていました。「ああ、トマトを売ってるんだ」と思いながらおばあさんを見ると、片目が白く濁っていて、もう一方の目も不自由そうです。新聞紙の脇には小さな空き缶も置いてあって、わずかばかりのコインが入っていました。

おばあさんの前からなかなか動かない私にしびれをきらしたのか、彼は私の腕をつかむと奥へ行こうとしました。
「トマトが食べたい」
と私が言うと、彼はしかたがないといった風でジーンズのポケットからコインを取り出してお皿に投げ入れ、一番熟していそうなトマトを一個選ぶと、ジーパンで丹念に拭いて私に差し出しました。
「いくら入れたの?」
私が爺からもらった小銭入の小さく八ッ折にたたんだお札を広げていると、彼はお札をのぞき込み、
「そんな大きなお金を出しても、おばあさんにはおつりがないよ」
と言って笑い出しました。思わず照れくさくなっておばあさんを見ますと、おばあさんも笑っています。くったくのない笑顔でした。

トマトを歩きながら食べましたが、とてもおいしいのです。「ああ、これが本当のトマトなんだ」と思いました。彼は、そんな私を半分あきれたような顔で見ています。
「ああやって、自分の庭でとれたわずかなトマトを売りにきてるんだよ」
「ふ〜ん、でもどうしてアコーデオンを弾いてるの?」
彼は、答えませんでした。

<では、ごめんくださいまし。後日に続きます>

直子
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