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Re: 日本の唄 - 竹田の子守唄

投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/01/03 23:40 投稿番号: [46928 / 73791]
投稿者:直子

竹田の子守唄で思い出しましたが、「野菊の墓」をお書きになった伊藤左千夫の作品で「守の家」というのがありましたわね。お松という子守の女の子、昔の日本わね。


守の家   伊藤左千夫

  実際は自分が何歳(いくつ)の時の事であったか、自分でそれを覚えて居たのではなかった。自分が四つの年の暮であったということは、後に母や姉から聞いての記憶であるらしい。
  煤掃(すすは)きも済み餅搗(もちつ)きも終えて、家の中も庭のまわりも広々と綺麗(きれい)になったのが、気も浮立つ程嬉しかった。
「もう三つ寝ると正月だよ、正月が来ると坊やは五つになるのよ、えいこったろう……木っぱのような餅たべて……油のような酒飲んで……」
  姉は自分を喜ばせようとするような調子にそれを唄って、少しかがみ腰に笑顔で自分の顔を見るのであった。自分は訳もなく嬉しかった。姉は其頃(そのころ)何んでも二十二三であった。まだ児供(こども)がなく自分を大へんに可愛がってくれたのだ。自分が姉を見上げた時に姉は白地の手拭を姉さん冠(かぶ)りにして筒袖の袢天(はんてん)を着ていた。紫の半襟の間から白い胸が少し見えた。姉は色が大へん白かった。自分が姉を見上げた時に、姉の後に襷(たすき)を掛けた守(も)りのお松が、草箒(くさぼうき)とごみとりとを両手に持ったまま、立ってて姉の肩先から自分を見下(みおろ)して居た。自分は姉の可愛がってくれるのも嬉しかったけれど、守りのお松もなつかしかった。で姉の顔を見上げた目で直ぐお松の顔も見た。お松は艶(つや)のよくない曇ったような白い顔で、少し面長な、やさしい女であった。いつもかすかに笑う其目つきが忘れられなくなつかしかった。お松もとると十六になるのだと姉が云って聞かせた。お松は其時只かすかに笑って自分のどこかを見てるようで口は聞かなかった。・・・
http://www.aozora.gr.jp/cards/000058/files/606_20604.html


明治の日本の伊藤左千夫の素朴な文体が、かえって心を打ちます..(ーー
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