「ソウル」 - 序
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2008/12/11 02:08 投稿番号: [45702 / 73791]
爺
「ソウル」 - 序
ソウルは、実に可愛い町である。中央を広い漢河がゆったりと流れ、両岸にはいくつもの小高い岩山が連なり、これにへばりつくようにして大小さまざまな建物が密集する。川岸の近代的なオフィスビル街から岩山へ足を向けると、高層マンションや小さな商店街があったり、商店街には大きないけすを店頭にならべて活きのよい魚で客を誘っておったり、道端の奥では今朝畑で採ったのであろう白菜を山ほど積み上げ、姉さんかぶりの手ぬぐい姿の老婆がしゃがれ声で客引きしていたり、そのそばでは旦那であろうか老いた男が所在なげに煙草をくゆらせていたり、餅を売っている店、佃煮を売っている店、駄菓子屋、洋服屋、小間物屋、串物屋、玩具屋、いやはや実に活気がある。
さらに足を向けると、色あせた石や赤煉瓦の民家が立ち並ぶ一画に出た。その家々の間の舗装路を縫って歩くと、道はやがて小道となって急坂をなし、岩山の頂上へと続いておる。
坂の途中で一人の老婆に出合った。別に挨拶を交わすわけでもなく、そのまま通り過ぎたが、心地よい疲れか思わず立ち止まり今登ってきた道を何気なく振り返ると、先程の老婆が坂の下から儂をじっと見上げておる。儂が会釈すると、いかにも怪訝そうに首をかしげては、また坂を下って行った。
頂上からは、ソウルの街が眼下にひらけ、はるか下を走る車の喧噪も聞こえない。ここは、別の世界であった。
これは メッセージ 45701 (k_g_y_007_naoko さん)への返信です.
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