Re: 先の戦争については<「ソウル」 - 14
投稿者: k_g_y_7_naoko 投稿日時: 2008/04/29 03:33 投稿番号: [33715 / 73791]
投稿者:拓
「ソウル」 - 14
その数、数十機であろうか。我々目指して一目散に飛んでくる。
儂が命令するまでもなく、部下の何人かが敵機の来襲を告げに大声で叫びながら兵舎へ走った。すぐに兵舎の兵たちは飛び出してきた。持ち場に向かう者、ヤシ林の防空壕に向かう者、軍服を抱えて半裸で走っておる者。じつに素早い。儂の隊は戦闘機相手ではやることがないから、防空壕へ走った。防空壕といっても、穴を掘っただけの粗末なもので、直撃弾を受けるとひとたまりもない。ただ、ヤシ林が格好の隠れ蓑となっていただけである。
儂は部下が止めるのも聞かず、ヤシの幹に半分身を隠しながら敵機の様子を見ておった。数十機とはいえ、まるでハチの大群が押し寄せてきたかのようである。数門しかない我方の対空機関銃の音も聞こえてきたが、まったくあたらん。敵機は縦隊で侵入してくると次々に爆弾を落として飛び去る。無人の兵舎は、瞬く間に木っ端微塵に吹っ飛んだ。やがて先頭の敵機が反転してきて、今度はむやみやたらと機銃掃射をあびせてきた。目の前を飛び去る敵機は実に速い。歩兵銃で撃っている者もいたが、鉄砲の弾より速く見えるから不思議である。
そのとき、硝煙の中にひとりの兵隊が向かい側のヤシ林に逃げ込もうとよたよた走っているのが目に入った。一升瓶を何本か胸に抱えておる。山下であった。山下は実に足がのろい。おまけに持てるだけの一升瓶を抱えておるから、走りにくそうである。
「逃げろぉ〜、山下ぁ〜!」
いつの間にか儂の周りにきておった部下のひとりが叫んだ。しかし、爆音や機銃音で聞こえんらしい。
「瓶をすてろぉ〜!」
今度も聞こえんらしい。そのとき、山下の背後へ敵機が舞い降りてきた。
「ふせろぉ〜、山下ぁ〜!」
機銃が火を噴いた。山下はつまずくように転んだ。その間わずか一、二秒である。
「やられたか?」
「いや、大丈夫そうだ..」
山下はもそもそ起きあがると、なんと地面に転がった一升瓶を拾い集めておるではないか..。
「ばかやろぉ〜、はやくにげろ!」
ひとりの兵が儂の横から飛び出した。例の夫婦漫才の相方の兵である。彼が山下にもうすぐ届こうというとき、「ヒュー」と不気味な音が頭上に聞こえた。
「ふせろぉ〜!」
古参兵のひとりが叫ぶ間もなく、我々は伏せた。
爆風の中で二人が宙にもんどりうつのが見えた。とっさに、儂は彼らに向かって走っていた。部下達も後から走ってきたが、山下も相方も地面にころがったまま動かん。山下は顔面血だらけで、両足がもも半分からない。腹からは腸がはみだしておる。ヤシ林まで運んだが、山下は即死。相方はとみると、頭皮が垂れさがってまっ白い頭骨はむき出し、片足はあらぬ方向に反り返っておった。
爺
これは メッセージ 33714 (k_g_y_7_naoko さん)への返信です.
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