何故、嫌いな日本人に成り済ますのか?

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正徳寺

投稿者: rie2376 投稿日時: 2010/02/13 08:02 投稿番号: [4415 / 6355]
今週から信長にまつわる話を
3本ほど投稿します

まず道三との絡みを

正徳寺

斎藤道三、世に言うマムシの道三
一介の油売りから身を起こし、美濃一国を
切り取った立志伝中の人物

鬼より怖い道三入道

その道三が興味を持ったのが、隣国尾張の
大うつけと評判の織田信長であった

聞くところによれば、近習の若侍と
近隣の村々に現れては悪さを繰り返す
総領息子で

世間では

もう織田家もお仕舞いだ、
あれが跡取では、

という風評であった

抜け目のない道三の策略によると
娘の濃姫を娶らせ、うつけと評判の
信長を手な付けてしまえば、尾張は
簡単に我が物になる、

もし意に背く時は、濃姫に信長の
寝首を掻かせればよい

信長にしても、まだ基盤の弱い尾張を
強国にするには、隣国の美濃と同盟を
結ぶのが得策であり、両者の利害が一致し
濃姫の尾張入りが実現したのであった

さて、富田村の正徳寺において初顔合わせの
席が設けられ、信長は鉄砲隊を含む三千の
兵を引き連れ正徳寺に向かっていた

道三は道中の様子を見るべく、家老の
猪子兵助と共に蕎麦屋の二階に陣どる

殿、まもなく婿殿がやって参ります
おお、鉄砲足軽の多いこと

やや、御大将の姿は何としたこと

上は裸同然で、腰には縄紐を結び
馬上で柿など食らっております

噂にたがわぬ、大うつけでござりますぞ

どれどれ、あれが信長か
お濃も不憫なことじゃ

しかしこれで、尾張はわしの物じゃな

御意、もはや我領地も同様で、ところで殿
衣服改めは、如何致しましょう

婿殿があれでは、必要ないと存じますが

しばし思案の後、道三は

そうじゃの、別段改める事もあるまい
このままでも十分過ぎるくらいじゃ

二人は軽い失望と、大いなる満足感に
浸りながら正徳寺に向かったのだった

しかしそれは、信長の姿を見るまでの
ほんの一ときに過ぎなかった

正徳寺での信長は、頭には鳥帽子を頂き
正にやんごとなき、宮家の若君といった
風情であった

気品に溢れるその姿は、周りの者を圧倒し
すでに天下人の風格を備えていたのである

これはしてやられた、この道三とも
あろうものが

尾張の小せがれに、まんまとしてやられたわ

これは大うつけ所ではない、とんでもない
麒麟児じゃ、天下を取るのはわしではなく
この婿殿だったのか

会見の場に臨む道三に、もはや迷いはなかった

婿殿、わしが道三じゃ、よしなに

信長は平然と

そうであるか、余が信長である

そう言ったまま暫し無言であった

道三は信長を見つめながら

せがれの義龍は、いずれこの婿殿の前に
こうべを垂れることになるであろう

残念だが、余りに器が違いすぎる

斯くなる上は、このわしも婿殿の後見となり
共に天下取りの夢を、見たいものじゃ

道三は高ぶる心を、押さえることが出来なかった

やがて日も落ち、静寂が訪れた正徳寺では
二人の英傑がただ無言で向き合っていた
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