[北京
17日
ロイター]
日本は過去には目覚しい経済成長を遂げたものの、時代の変化に対応しきれず、さらには少子高齢化も進み、
経済的にはアジアの劣等生となったとの見方もある。しかし「政権選択選挙」と目される30日投開票の衆院選で民主党が政権を奪取した場合、
日本のアジア地域での起死回生のチャンスが膨らむ可能性がある。
日本の経済成長率は主要7カ国(G7)中最低で、中国がアジア経済のけん引役としてすでに日本にとって代わった可能性もある。国際通貨基金
(IMF)は、現在の米ドル相場換算で、日本の国内総生産(GDP)は2014年まで1995年の水準まで回復しないと試算。一方IMFは、
中国のGDPは2014年には1995年水準の11倍に膨れ上がり、2010年にも日本を抜いて米国に次ぐ世界第2の経済大国となると予想する。
しかし皮肉なことに、日本をこれまでスタグフレーションに陥れてきたまさにその要因が、日本のアジア地域での起死回生に大きなチャンス
をもたらす可能性がある。今回の衆院選で自民党が政権を失い、民主党が政権を奪取すれば、その可能性はより高くなる可能性がある。
国内市場が飽和し少子高齢化が進む中、日本の企業は今後も生産拠点の海外へのシフトを加速化させ、進出先の需要を満たすと共に、
海外で生産した製品の一部を日本に逆輸入する動きを強めるとみられる。
スタンダード・チャータード(香港)のエコノミスト、シモン・ウォング氏は、先進国での消費が落ち込む中、日本の企業が成長著しい新興国に
着目するのは理にかなっているとし「日本はこうした新興国の一部で技術革新を進める推進力となれる可能性がある」と述べた。
(中略)
<日本の外交政策の転換>
アジア地域への事業拡大方針は、今回の衆院選で政権交代を実現する可能性があるともされる民主党の鳩山由紀夫代表が掲げる外交政策とも一致する。
鳩山氏は中国や韓国などのアジアの近隣諸国との関係改善を目指し、日本を東アジア経済の
一部と位置付け、将来的には地域通貨連合を結成する構想を持っている。
オーストラリア国立大学(ANU)のピーター・ドライスデール経済学教授は、鳩山氏の政策のもとでは
「対外的な経済政策の重心は東アジアとの提携強化にシフトする」と予測する。
日本の政権を1955年の結成以来ほぼ一貫して担っている自民党は、中国の台頭に警戒してきた。その自民党政権のもと、日中両国は協力体制を
築くと同時に互いに競争してきており、このことがアジア地域の経済的な一体化の阻害要因となってきた。これに対し民主党は中国との関係改善に
尽力。鳩山代表は民主党が衆院選で政権を獲得し自身が首相になった場合は靖国神社を参拝しないと表明するなど、中国への配慮もみせている。
スタンダード・チャータードのウォング氏は「これらすべては、民主党と中国との間で対話が進むチャンネルが多いことを示している。
このため日中関係の問題はこれまでよりも少なくなる」と予測する。
<長期的な見通し>
ただ、スイスのインターナショナル・インスティテュート・フォー・マネジメント・デベロップメント(IMD)の国際政治・経済専門の
ジャン・ピエール・リーマン教授は、日本はそれでも国力の低下に直面しており、21世紀の新しい経済秩序のなかで、どのような役割を
果たすべきか、いまだに模索していると指摘。「日本は西側諸国の間にも、アジア諸国の間にも足場を固められず、漂流している。
さらに、ほぼすべての分野で国際化基準を満たしていない」と述べた。
オーストラリア国立大学のドライスデール教授は、今回の衆院選で民主党が決定的な勝利を収めた場合、日本の信頼度向上に貢献するとし
「多少の混乱はあろうとも、政権交代は日本にとって概ね良い結果をもらたすだろう」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/politicsNews/idJPJAPAN-11066420090820?sp=true